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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
繊維を分離する一次加工の方法(3)
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第7回 2013年06月14日
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圃場にある麻茎は、すべて同じように雨露を受けるわけではない。地面付近では水分が多く、麻茎の束の上部では水分が少ないため、発酵が不均一となり、繊維の損失が大きくなる。一般的に雨露法で取り出された麻繊維は、灰色から黒色をしており、品質はそれほど良くない。
雨露法の利点は、製造プロセスに莫大(ばく だい)な投資をしなくてもできる点にある。
一次加工方法のまとめ
麻の一次加工で重要なレッティング工程は、多くの国で伝統的な方法で行なわれている(図2)。これは、その地域の気候条件や栽培環境だけでなく、コストや品質の面を考慮して用途に応じたさまざまな方法が採用されているためである(図3)。
日本で麻の繊維は、麻織物、下駄の鼻緒、弓弦、締め太鼓やたこ揚げのひも、神社の神事などの高品質な伝統工芸用に生産されている。生産現場ではほとんどが手作業であるため、他の方法と比較するとコストが高いという側面がある。
一方、最近の中国では、冷水法ではなく、化学・機械法や水を使わずに機械的に処理する緑茎法を採用している。EU諸国では、従来の紙用だけでなく、住宅用断熱材や自動車内装材に使われる不織布用には、雨露法に頼らない機械的処理が中心になっている。一次加工におけるコスト低減と品質向上の努力は、各国で今後も続けられていくであろう。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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