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“被曝農業時代”を生きぬく

高松農法が持つ竹林の放射能汚染を低減させるカギ

東京電力福島第一原発事故から3年目を迎えるが、福島、宮城、岩手、茨城、栃木、千葉など広域にわたってタケノコの出荷制限と出荷自粛が続いている。この地域においてタケノコは主要な農産物ではないが、4月の初めなど農産物直売所では集客力のある品目だった。また、農家にとってもタケノコは換金作物の少ない時期に出荷でき、貴重な収入源でもあった。
原発事故により東北と関東は広く放射性物質の降下(フォールアウト)を受けた。農地では耕すことを通じて土壌への放射性セシウムの吸着能力が高くなることで作物への移行を阻止していることが認められている(注1)。しかし、竹林では耕すことができず、放射能汚染の影響が長期化している。また、親竹そのものが汚染され、親竹の放射性セシウムがタケノコへ移行することも大きいと考えられる。

放射性物質の竹林内の分布

出荷制限が現在でも続く茨城県牛久市の安部農園から産出されるタケノコは、原発事故1年目から非常低い値を示している。同農園の竹林も放射性物質の降下は受けているが、タケノコへの放射性セシウムの移行量が少ないことは、高松求さん(82歳)の長年の竹林管理法によるところが大きい(写真1)。現在、高松さんは経営を移譲し、技術を受け継いだ安部真吾さんが竹林などの農園を管理している。
同農園の竹林内の放射性物質について地上部と地下部の分布を昨年4月に調査した(図1)。まず地上部を見てみると、枝笹の値が最も高く、タケノコやタケノコ皮では低くなった。両者に大きな違いが認められたのは地下部での分布である。一般の竹林では、リター層(地表面の腐食していない落ち葉などが堆積した層)に放射性セシウムが集積する。しかし、高松さんの竹林では、リター層の放射性セシウム量は少なく、土壌表層が高い値を示しており、多くが土壌中にあることが認められる。

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