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新・農業経営者ルポ

北の大地にマムの新たな可能性を見出した渥美半島の農業者


「出口があって初めて投資するのであって、出口が見えてないのにヒートポンプなどを導入しても意味がない。うちの場合はヒートポンプを入れるより、北海道に投資した方がいいと踏んだ。向こうで重油を使用しない時期に作った方が経営的にはずっと意味がある。ランニングコストを減らして利益が出るならいいけど、そうじゃないだろ。重油をたくときはたく、そうした方が絶対利益につながる」
生産拠点を国内に限っているからといって、海外に興味がないわけではない。いや、むしろ海外に出向いて向こうの品種を選び、積極的に導入してきた。あるいは商社に請われて、東南アジア諸国や韓国で技術の指導もしてきたほどに関心を抱いている。この中には日本向けの最大の輸出産地、マレーシアの高原にあるキャメロンハイランドでの実績もある。なぜ将来の敵となりうる相手を育てているのか。
「闘うには相手のことを知らなければ駄目だ。相手が槍で攻めてくるのか、鉄砲で攻めてくるのか。そうしたことを知らず、いつもと同じ武器で戦っているのが日本の生産者でしょ。相手だって勝つために考えてくるよ。いつまでも守っているだけではいずれ負けるだけだって」
藤目自身は意識しての発言ではないが、これは東三河地方の生産者に対するメッセージである。マーケットを見つめ、経営者としての主体性を堅持するところにこそ生き残れる農業経営がある。彼の存在は常にそのことを産地の人々に問いかけているはずだ。(文中敬称略)

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