ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

どう見る 政府の農業成長戦略

7月21日に投開票を迎える参院選。農業分野で与野党は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加と併せて、自民党が発表した「農業・農村所得倍増目標」を最大の争点にしている。同党の10カ年戦略を読むと、きらびやかな政策目標が並ぶが、果たして実現可能なのだろうか。そもそも農業経営者にとって意味のある内容になっているのか。この特集で検証する。


戦略の中身を見る


度成長期を進展させた池田勇人元首相にあやかってか、所得倍増を掲げた安倍晋三首相。農業・農村でも農業純生産を現状の3兆円から10年後に6兆円にするという大目標を掲げた。いったいどうやって達成するのだろうか。まずはその中身をみていく。

担い手への農地集積を5割から8割に

5月の成長戦略第2弾スピーチで、安倍首相はこうぶち上げた。
「農業の構造改革を、今度こそ確実にやり遂げます」
構造改革すべき事項として真っ先に挙げたのは農地の集積。担い手に集まっている農地を現状の5割から2020年には8割まで持っていく。これでコメの生産費を4割減らす目論見だ。
この計画を着実に遂行するための農地の中間的な受け皿組織として、都道府県別にある「農地保有合理化法人」(以下、合理化法人)に代わって「農地中間管理機構(仮称)」を設置する。ここが地域の農地を借り受け、大区画化などの基盤整備をした後、面的にバラバラではなくまとまった状態で担い手に貸し出すのがポイント。
農水省によれば、合理化法人との違いの一つは、売買ではなく、賃貸借を中心にしていくこと。「従来の合理化法人では売り買いを中心にやってきたが、地主はなかなか農地を売りたがらない。それなので貸し借りを進めることで農地流動化の実効性を高めたい」(農地政策課)。合理化法人の財政基盤が弱いため、売却先が決まっていない農地の購入に限界があったこともある。またあくまでも国家予算だけで、貸し手が決まるまで農地を管理したり、基盤整備したりするのも新たな試みだ。これらに関して地主や借り手の負担は一切ない。
耕作放棄地も受け入れる方針。ただ、条件が悪くて借り手が決まらない農地が発生した場合にいつまで国が管理を続けるのか、放棄された状態がどの程度の農地まで受け入れるのかは未定。国が管理費を肩代わりするだけに終わりかねない事態を避けるため、受け入れる農地の条件は今後詰めていく。

6次産業10兆円、輸出1兆円に

構造改革の2つ目の柱は、6次産業化の市場規模を現状の1兆円から20年に10兆円にすること。新たに設立した農林漁業成長産業化支援機構を中心とするファンドを活用して、6次産業化に取り組む事業体を支援する。
3本目の柱は農林水産物・食
品の輸出額を増やすこと。12年に4500億円だったのを20年に1兆円にまで伸ばす。ただ、この内訳をみると農産品はわずか。太宗はブリやサバなどの水産物や味噌や醤油などの加工食品が占める。農地集積によって生産費を4割減らすはずのコメとその加工品は、130億円から600億円のアップにとどまる。TPPへの参加でコメの生産減少額が1兆円以上になるとした割には心もとない数字だ。

21日に審判下る

自民党はこれら3つを柱にして「農業・農村所得倍増目標」を実現する方針。ただ、民主党はこの目標を「誇大広告」として糾弾している。所得が倍増する理由として、林芳正農相が衆院農林水産委員会で「毎年の実質経済成長2%の継続」などとしたのを「根拠がない」と切り捨てた。これについて民主党はチラシにまとめて配布したところだ。
農業者は今回の所得倍増目標をどう受け止めるのか。その審判は21日に下される。

関連記事

powered by weblio