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(2)【法律だけに拘らない弁護士を選ぶべし】
弁護士である私が言うのもおかしいかもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、法律によって人が幸せになるとは限りませんし、厳格に法律どおりの結論を出すことが依頼者の納得のいく解決になるとも限りません。農業という業界は、一般の企業等とは異なる独特の慣習、周辺農家を含む地域社会や農協との関係等、考慮すべき様々の事情があるため、何か法的問題が起こったとしても、法律に当てはめて即解決できるという単純な構造ではないと認識しています。
よって、ただ形式的に法律を当てはめるのではなく、考慮すべき様々の事情を踏まえた上で、複数の選択肢を示し、それぞれのリスクと効果を適格に説明した上でアドバイスをする弁護士を選ぶべきです。
(3)【報酬の基準が明確な弁護士を選ぶべし】
弁護士に依頼をしてしまうと高額な報酬を請求されるのではないかという恐いイメージを持たれている方も多いと思います。これは、弁護士業界の悪しき慣習によるところも大きく、我々としても反省すべき点です。
現状、弁護士の報酬設定は、完全に自由化されており、個々の弁護士が自由に価格設定をすることができるので、高額の弁護士報酬を取る弁護士がいる一方、競争激化のため、低価格で受任をする弁護士も増えているようです。
いずれにしろ、弁護士業務もサービス業の1つである以上、需要と供給の関係やサービス内容とのバランスで価格が決定されてしかるべきです。したがって、自らが提供するサービス内容と報酬の基準を明確に説明してくれる弁護士を選ぶべきです。
(4)【話がしやすい弁護士を選ぶべし】
弁護士に相談をする際には、その相談に関わる事実を全て正直にお話いただく必要があります。時には、隠したいこと、話すのが恥ずかしいこともお話いただくこともあります。そうでないと、適切な法的アドバイスができないからです。
他方、皆さんが、疑問に思う点、不安な点を弁護士に遠慮なく聞けることも同じくらい大事です。弁護士に相談しているのに、疑問や不安を残したままでは相談をした意味がないからです。
そのため、ご自身が話をしやすい、質問をしやすい弁護士を選ぶべきです。これは相性の問題ですが。
(5)【弁護士と付き合う際には迅速性を重視すべし】
法的紛争のほとんどは、紛争が顕在化する前の「紛争の種」の段階でどのように対処するかが最も重要です。「紛争の種」の段階で早めに積極的対応をとるべきか、あえて触れないよう注意をし、その間に対応を検討するべきか、という判断が重要であるということです。「紛争の種」を単に放置するだけで良い結果になることは、ほとんどないと考えてください。農業関連の案件に関わりませんが、相談するのが遅かったために手遅れになるということは決して珍しくないのです。
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戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
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