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日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識

大麻栽培特区の活用


麻についても複数の地域が大麻取締法関連の規制緩和の要請を実施した(表2)。しかし、すべての要請において「C:特区として不可」と判定された。なかでも、北海道北見市は構造改革特区制度に4度挑戦しても全く実現できなかった。そこで国の構造改革の北海道版であるチャレンジパートナー特区に申請したところ、08年8月8日に産業用大麻栽培特区(表1のC)に認定された。
特区というと栽培の自由化というイメージがある。だが、この北見市の事例では、特区の中心に産業用大麻の栽培に関わる環境を整える目的でつくられた検討チームがある。将来的に1000ha、さらには1万haと栽培する場合に農家が種子を入手する方法やマリファナ成分の検査体制などの現実的な問題をどうクリアしていくのか検討することが重要である。諸外国ではすでに制度や法律が整備されて“とっくの昔”に終わっていることが、日本では「特区」でようやく議論するところなのである。(洒落を言いました!)
ところが、北見市の産業用大麻栽培特区でも検討結果は「難しい」「できない」の連発で、民間側の挑戦に行政が支援するという形には程遠い状態になったのである。

総合特区制度の活用

そこで期待できるのが、最近新しく施行された総合特別区域法に基づく総合特区(表1のD)である。これまで構造改革特区の協議は内閣府経由で、大麻取締法を管轄している厚生労働省とのやり取りを間接的にしか行なえなかった。総合特区では規制省庁と当事者が直接、協議する場がある。構造改革特区では企業やNPO法人、個人でも提案できたが、総合特区では自治体を通じての提案に限定しているのが大きな特徴である。自治体は総合特区制度を利用して民間の麻栽培をしたい方を支援することができる。
麻栽培の振興のために総合特区で提案する点は次の3つである。

(1)種子の輸入
特区要請の際に種子に関する要望が多い。その背景には、栃木県以外で種子が容易に入手できないという問題がある。マリファナ成分が極めて少ない品種「とちぎしろ」を管理している栃木県農業試験場は、同じような種子管理体制がないと県外不出の姿勢を崩さない。また、農林水産省のジーンバンクにある種子は、栃木県の意向により大麻取扱者の免許を持っていても入手できない状況にある。一方で関税法により、海外から輸入した発芽する種子はすべて非発芽処理(熱処理)をしなければならない。栽培者は播種に用いる種子を要望するが、法制度は薬物乱用の観点から種子の拡散を防ぐためにいかなる種子も熱処理をするように定めている。今後、日本で麻を新しく事業化するには、種子の輸入に関する省令の規制緩和が欠かせない。特に海外の繊維用と食用の品種の高品質な種子の導入が望まれている。

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