ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

岡本信一の科学する農業

土壌の数値管理の可能性



次に、定量的な関係が分かっている株間や土壌の物理性を利用した土づくりの場合を考えてみよう。
既に関係性がはっきりしているので指標を作るのは簡単だが、その前に必要な情報がある。収量や品質をどのようにしたいのかという目標を明確にしないといけないのだ。
分かりやすいので、植え付け時の株間の指標を作る話で例える。株間を広げれば収量は増える傾向になるが、バラつきも大きくなりやすい。反対に株間を狭くすれば、大きさは揃ってくるが、収量の極大化には向かない。さらに土壌硬度などの物理特性によっても最適な株間がある。目的が変われば指標も変わるのだ。どんな農産物をつくりたいのかという具体的な目標に対して、それぞれ指標は違うということになる。
大きさをどれくらいにしたいのか、収量の最大化を図りたいのか、バラつきを小さくしたいのか、安定して取れるようにしたいのか。従来の「良い農産物」という目標に比べて、より明確な目標を設定しないと株間や土壌物理性の指標は作れなくなる。定量的に土壌と収量の品質の関係が把握できていれば、目標が変わってもその都度、指標を作成し直すことも難しいことではなくなる。
土づくりの指標を作るアプローチ方法の違いについてお分かりいただけただろうか。つくりたい農産物の具体的な目標は本来、経営目標に合致するはずである。それに見合った指標が作れれば、より成果を出しやすくなることは間違いない。

データが集められれば、最適な作業が見つかる

では、どのような耕起を行なえば土壌物理性の指標を満たす土壌がつくれるのか。土壌の物理性に大きな影響を与えるのは耕起作業である。プラウなり、ロータリやパワーハローなどの使い方によって収量や品質に違いが出ることがあり、土質によってもその効果は異なる。それらをあらかじめ想定してどの程度の効果があるのかを予測できれば、どの耕起方法を選ぶと最も目指している土壌に近づくのかを知ることができる。もちろん、耕起作業の違いが実際の作物の生育にどのような影響を与えるかは、試してみるまではなかなか分からない。多くのデータを得れば、その土壌に適した耕起の方法が見つかるはずである。
同様に土づくりの代名詞のような有機物の投入について、率直に言ってその効果を短期間で把握することは不可能に近い。緑肥の種類や鋤き込むタイミング、堆肥の種類や投入量、土壌改良材などが土壌の物理性にどのようなインパクトを与えているか、費用と手間に対して土壌改良効果はどれほどなのかも地道にデータを取っていけば判定できるようになるはずだ。

関連記事

powered by weblio