ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

肥料減で品質安定&コストダウンを狙う 基肥一発型から追肥主義の施肥体系へ


米国の野菜栽培といえば、多くの方は粗放的な大雑把な技術を想像されると思う。しかし、精緻とは言えないが、日本にはない合理精神に富んだ栽培技術を駆使している。

【基本的には無施肥で栽培する】

サリナスは年間を通じて温度の変化が小さく、降水量は少ないが灌がいさえ行なえば、農産物の栽培には非常に適した場所である。
同地のレタス栽培は、日本でのレタス栽培と気を遣っている観点が全く違う。まず、彼らはレタス圃場にほとんど施肥をしない。「なぜ施肥をしないのか?」と尋ねると、「施肥しなくても育つからだ」と当たり前の答えが返ってくる。土壌分析を行ない、足りないときに肥料を与えるだけで、灌がい設備を持って灌水は行なうが、基本的には無施肥である。
灌がい設備は、一般的なスプリンクラーによる潅水が大部分を占める。土質によっては広大なレタス畑に点滴灌水チューブを畝ごとに敷き詰めている場合もある。当然のことだが、一作ごとにチューブを張り、収穫が終われば回収する(写真1)。

【圃場を均平にして直播する】

写真2はレベラ作業である。レタス畑を均平にする目的でレーザーレベラを使用している。ここでも「なぜだ?」と聞くと、「水たまりができるとその部分だけ出来が悪くなるから、水たまりができないようにしている」とのこと。ごもっともである。
また、米国ではレタスは直播である。これは渡航する前から知っていたことだが、あえて現地でも理由を聞いてみた。答えは「直播でも出来が変わらないから直播でやっている。ブロッコリは直播だと出来が悪いので、育苗の後、定植する」ということである。日本では直播だと雨によって流されてしまうこともあり、カルフォルニアとは条件が違う。そのままの技術を導入することは難しいと思うが、条件が変われば、栽培方法もこれだけ違う。
日本からサリナスのレタス栽培を見学しに行った人の多くは、その規模の広大さや収穫台車(写真3)に注意が向くようだ。と言っても、レタスを切って収穫するのは人が行なっており、収穫作業そのものが機械化されているわけではないのだが。

【栽培に対する合理的な考え方】

しかし、私は、栽培に対する合理的な考え方に驚かされた。ごく当たり前に、日本での常識をくつがえすような答えが返ってくるからだ。不必要なことはしないし、必要とあれば、きちんと手をかける。私は米国の農業技術がことさら優れたものとは思わないが、少なくともあらゆる工程にはきちんと意味があり、意味のないことをしないという合理的な精神が一貫しているのだ。

関連記事

powered by weblio