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特集

肥料減で品質安定&コストダウンを狙う 基肥一発型から追肥主義の施肥体系へ


生育段階に応じた施肥のタイミングや肥料成分、施肥量の多少については前述のとおり、教科書がある。基本が分かれば、後はその土地に合った栽培方法があるはずで、応用していけばいい。しかし、圃場内のバラツキに対応する最適化については、これまで、作業者の視覚に頼っていた。標準の栄養状態であれば稲の葉は尖っているが、窒素などの栄養過剰になると、歯の先が太くなる。葉の色だけでなく、乗用管理機からはこういった情報を瞬時に判断して、追肥量を決めている。
圃場が増えるなかで、小さい圃場は機械作業をしやすい面積に広げてきた。特別な理由がない限り、地権者の了解を得て、中畦を取って合筆する。かつての20a以下の圃場であれば水を張ればある程度のバラツキが問題にならなかった。ところが、面積が大きくなれば水田であっても、バラツキに応じて施肥することが重要になる。

【GPSやIT技術の導入】

昨年から、(株)トプコンのレーザー式生育センサCropSpecの試験を始めた。GPSで位置情報を確認しながら、葉色をセンサで計測する。北海道の小麦で可変施肥は実績があるが、稲作への応用はこれからだ。小麦用のキャリブレーションを使って作成した葉色マップ(下図)は、稲の葉色のバラツキ傾向をほぼ正確に捉えている。
この先の段階では、タブラーの改良が必要になるが、予め圃場毎に決めた基準追肥量に対して加減した量を散布できれば、作物が必要とする追肥量だけを与えることができる。
施肥管理に加えて、数精度のRTK‐GPSの基地局を自前で設置した。後継者の世代になれば、GPSやセンサが当たり前のように使われるのではないか。これまでの栽培技術と次の世代の農業者をつなぐ技術になればと期待を寄せている。
愛知県内は夏場の気温上昇による稲の高温障害が発生している。出穂後2週間を乗り越えられる栄養状態を確保し、目指すのは高温下でも強い稲づくりである。

施肥体系(投入量はすべて10a当たり)

● 水稲 ●
(コシヒカリ)
○目標収量:540kg
○基肥
 ・N14-P9-K7 10kg

  (N 1.4kg)

  1,100円

○追肥(1回のみ)
 ・N14-P13-K4 10~15kg

  (N 1.4~2.1kg)

  850~1,275円


case3:ソバもジャガイモも水稲も基肥ゼロ収量より品質向上の成果を実感

片岡仁彦氏
(1963年福井県生まれ。脱サラして32歳で就農。水稲・ジャガイモ・ソバの複合経営。2011年より北海道に第2農場を持つ。)

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