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【シリーズ水田農業イノベーション】
雪国のコメづくり技術を革新する(前編) 技術革新の背景と栽培技術のあらまし 水稲乾田直播の栽培の極意と狙い
- 編集部
- 第3回 2013年08月21日
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生産性伸び悩み、コスト低減が難しい移植のコメづくり
担い手不足から規模拡大は避けられない時代であるが、水田農業を行なう一経営体が、保有する労働力には限界がある。「苗半作」と言われるように、苗づくりから移植までの農作業は、肉体のみならず精神的にもきつく、つらい作業で、農業従事者が高齢化する状況では、米づくりの限界を最も感じる労働である。克服する仕組みであった親戚、近所、知人による田植えの手伝いは、農村の過疎や疎遠となる傾向からか、臨時の労働供給が成立しにくく、臨時に人を雇えたにせよ苗運搬に対する賃金は、高額になりがちである。
一方で、移植水稲の作業機は専用機や専用機材が多く、規模拡大を進めても、機械費用を低減させることは難しい。図1・2は育苗移植の作業機と乾田直播の作業機のコストを規模別に比較したものである。規模拡大による機械費用のコスト低減効果は、移植栽培が低い。実際の事例からは、移植栽培は25haを超えると、適期作業の点から複数必要となるため、コスト低減効果は極めて低くなる。
岩見沢地域での乾田直播栽培では、麦・大豆との作業機の共有が図れるものを導入し、技術体系を組み立てているので、使用頻度が高まるほど、コスト低減効果はより高まる。
これは岩見沢地域のみならず、全国的に移植水稲が抱える課題であり、解決方法として、乾田直播栽培が注目されるゆえんである。
北海道の直播栽培は古くて新しい技術である
1930年ごろ、慣行苗の田植えは1時間当たり0.7a程度だったが、無芒品種「坊主」と「たこ足直播機」の開発により、直播栽培は1時間当たり5aのは種が可能となった。北海道の直播栽培面積は15万haを超え、米づくりの主流だった。しかし、畑苗代移植栽培が普及すると、安定性などから70年代に一度直播は姿を消した(図3)。
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