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新・農業経営者ルポ

ファーミング・エンターテイメイト

 出荷する生産者の世代は40~60代の専業農家ばかり。他の直売所からすれば圧倒的に若く、生産者としての自負も高い。直売所の委託手数料は生鮮品20%、加工品25%。それに、遠方の生産者の場合は農マル園芸が集荷を行なう。このシステムも他にはあまり無い方式だ。そして、集荷手数料は5%。

 直売所が各地にできると、直売所間の委託手数料の割引合戦が始まったりする。しかし、小川は手数料を変えようとは思わない。直売所にとって大事なのは、顧客に選ばれ、それが顧客を選ぶことにつながる店作りに徹することだと考えている。生産者には、こう呼びかける。

 「安売りは生産者にとっても直売所にとっても損。近場の直売所で安売りするくらいなら、自信を持って値段を付けよう。他で100円で売るなら吉備路農園は120円で売りますよ」

 良い商品と良いお客さんの良循環。それに対して、悪い品物と有難くないお客さんの悪循環というものがある。店はその仲立ちをしているだけだと小川は言う。購買層を特定してあれば、価格を下げること自体がお客さんを裏切ることだと考える。イチゴの出始めから3月初めまでは950円で販売する。しかし、野菜だけでは限界があり、果樹の扱いを増やし、さらに夏場の品薄に対応するために他の産地とのネットワークを広げたいとも考えている。


農業・農村・農民のノーマライゼーション

 「農マル園芸グループ」は、資本金6800万円の2農マル園芸と資本金8000万円の2アグリ元気岡山の2社に分かれている。小川の自宅があり、同社創業の地というべき農場と店舗のある旧・英田あいだ郡英田町(現・岡山県美作市)の英田農園。そして、現在の主力直売所であり農園でもある岡山県総社市の吉備路農園。グループ全体の従業員数は、社員26名、パート・アルバイトが80名。グループの売り上げは約7億円である。

 小川は2004年の吉備路農園発足に当たり、あえて会社を2つに分社した。新会社に「アグリ元気岡山」と名前を付け、同社に農業を事業として取り組む経営者の養成場所とする目的を持たせた。

 「農マル園芸」という社名にも人は「?…」と感じるかもしれない。

 そこに小川の「農業で事業を起こそう」と考える理念が示されている。小川は、時間講師の教職の後、福祉団体での勤務を経て農業を始めた。父親は村で一番働くいわゆる篤農家だった。葉タバコや露地イチゴを作り、乳牛を飼い、72歳の今もブドウを作っている。それで小川を大学まで卒業させてくれた。でも、リスクを背負った個人事業者であるにもかかわらず豊かと言える暮らしではなかった。

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