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イベントレポート

オランダに学ぶ農地集積のやり方


収穫風景の一コマを切り取った一枚の絵に続き、レーネン氏がスクリーンに映し出したいくつもの写真からは、第二次世界大戦後の貧しい農村の様子がうかがえる。牛舎の中にあるテーブル、牛に見つめられながら食事をする家族。調理場も牛舎内にあり、そこで婦人が鍋で何かを煮込んでいるのは、お世辞にも美味しそうとは言えない。
農地といえば、区画は狭い。その狭い区画が幹線道路で分断されている。さらに河川が入り組み、それが毎年のように氾濫して畑は水浸しになる。国の象徴である風車が点在する田園で農民や家畜が働く姿は、「郷愁は誘うが現実的ではない」といえる。
こうした古き時代の形態から先進的な農業への変革をもたらしたものこそ、オランダ式の戦後の農地改革だ。

法規制で交換分合を推進

日本で戦後に断行された農地改革との大きな違いは、農地を細切れにして小作人に解放するのではなく、政府主導で経営者に集積していったこと。戦後から247万haを対象とする約650件のプロジェクトを実施してきた。この結果、農家数は45年の25万戸から9万戸に、農業のための土地利用面積も234万haから190万haに減った。
計画に基づいて仲介役となる「土地銀行」が交換分合を推進。地権者が農地を放出する代わりに、それと同質の価値がある農地を受け取れる。
土地を手放したくないといった異議申し立てを受け付けるものの、「一人のために万人が被害をこうむるべきではない」というのが基本スタンス。法規制を以って強力に交換分合を進めて行った。
新たな手法としていま、地主たちが自分たちで再割り当て計画を策定している。これは土地行政を担う政府からの助言を受け、土地をデジタル化して効率的な農地集積の方法について話し合っていくというもの。日本では言い争いが起き、なかなかまとめるのが難しそうだが、オランダではむしろ迅速化や低コスト化が図れているという。このほか農地開発では自然や生態系の保護も重視している点を特徴に挙げた。

日本農業の成長に8つの提言

もう一人の演者であるケース・ファン・デル・ファールト氏は「21世紀のための持続可能な農業および食糧」というテーマで講演した。両氏は今回のセミナーと前後して日本の農山村を回ったり、農業関係者と話し合ったりする機会を持った。その中で日本農業に対する提言を8カ条にまとめている。

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