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視察レポート

農場視察セミナー『農業経営者』編集長と訪ねる日本の農業現場

(株)農業技術通信社は7月19日、第2回農場視察セミナーを千葉県内で開いた。農業者のほか農機メーカー職員や食品関連業者など集まった14人が訪れたのは、(株)イトーヨーカ堂(以下、ヨーカ堂)が全国で初めてつくった農業生産法人の(株)セブンファーム富里。それから西洋野菜を次々に広めてきた浅野悦男氏が八街市で経営するエコファーム・アサノ。当日の様子を報告する。 (取材・まとめ/窪田新之助)
千葉県成田市にある京成本線・公津の杜駅の改札を出ると、いくつかの高層マンションとともにヨーカ堂成田店が目に入る。
ここの地下は食材売り場。その一角に「JA富里市 新鮮野菜直送」と書かれたのぼりが目印の特設コーナーを見つけた。近づいていくと迎えてくれたのは、天井に吊り下げた看板に張った生産者たちの顔写真。陳列棚には彼らが作ったジャガイモやナス、トウモロコシなどの野菜が並んでいた。
出荷しているのは今回最初の視察となったセブンファーム富里。2008年8月に富里市の農地所有者が50%、ヨーカ堂とJA富里市が残り25%ずつを出資した農業生産法人だ。市内にある5・1haで野菜を作っている。
説明会場となったJA富里市本所で、ヨーカ堂青果部セブンファーム開発担当チーフディストリビューターの久留原昌彦氏がこれまでの経緯を話してくれた。

堆肥製造から農業支援へ

ヨーカ堂が農業に携わるようになったきっかけは2007年の改正食品リサイクル法。改正法により食品関連事業者に対して業種別に食品をリサイクルする2012年度までの目標値が設定された。このうち小売業者に課せられたのは45%という数値。07年時のヨーカ堂のリサイクル率は24・7%。残りの20%を達成するため、同社は食品残さの堆肥化を選んだ。飼料やバイオエネルギーにする選択肢もあったが、投資が最も安価に済む堆肥に決めた。
ここでヨーカ堂はもう一歩踏み込む。製造した堆肥を使ってくれる農場をつくり、そこの生産物をヨーカ堂で扱うことを思い付いたのだ。JA富里市に話を持ち込み、出来上がったのがセブンファーム富里だった。
関係者の役割に触れておこう。ヨーカ堂は回収した食品残さで堆肥を製造したり、店頭でセブンファームの野菜を販売したりする。JA富里市はセブンファームがつくった堆肥を売るほか、栽培の指導や生産物の集出荷を担う。生産者はその堆肥で栽培してJA経由でヨーカ堂に出荷する。こういった循環型の農業ができあがっている。

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