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特集

農業、いまどきの女たちが考えること


もちろん生産現場では力のある男が勝る。この点ではなるべくハンディを感じないよう、唯幸は菜穂に農機の免許を積極的に取らせている。
「女性は機械を駆使すればいい。うちは男の従業員が3人いるから、機械が使えない場面では彼らに頼ればいいんです」
それに男性に勝る女性の役割はある。菜穂は言う。
「アイデアとか商品開発力とかは女性の方が強い。だからコメ作りだけではなくて、消費者をこの農園に呼び込むような、自分なりの仕掛けをしてみたいなと思っているんです」
まだまだ農業経営については学ぶことばかり。ただ、コメの包装の絵柄をデザイナーに指示したり、現在建築中でカフェのようなデザインの休憩所のイメージを提案したりしている。中道農園は少しずつ菜穂の色を加えながら、新しく生まれ変わろうとしているようだ。

【座 談 会】

世間的な女性農業者に対するイメージを壊してもらいたい――。そんな思いで開催した座談会には上は48歳、下は平成生まれの24歳の4人に集まってもらった。世間の過剰な注目を冷静に受け止めながら、将来を見据える彼女たちの本音と力強いメッセージを届ける。

農業を始めるきっかけ

加藤祐子(本誌編集担当) 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。まずは鈴木さんから自己紹介をお願いします。
鈴木ちひろ 私は茨城県古河市で鉢花、花苗、野菜苗の生産をしている三和園芸の鈴木ちひろと申します。4人兄弟の女、女、男、男の2番目の次女です。兄弟で家業についているのは今のところ私だけですね。まだ経営を継いでいるわけではないのですが、今の仕事に従事して12年が経ちます。花の生産は父親が始めて44年。時代が良かったこともあって、どんどん規模を拡大し、平成8年に法人化して約40人体制で生産しています。
加藤 お父さまは公職に就いていらっしゃるんですよね。
鈴木 そうです。だから父親は今、大きな舵取りはしますが、実質的には生産も対外交渉もほとんどやりません。バブルが崩壊してから、花の値段もどんどん落ち込み、大きくなった母体を維持していくのが大変な時代になっていきました。会社の今後について、両親は「お前が気の合う男性を連れてきて一緒にやればいい」なんて簡単に言うんですけど、そんな都合の良い話はなかなかありません。いろいろ話し合って、一番下の弟に一緒にやらないか、と声をかけたところ、彼が承諾してくれました。現在研修2年目で、来年6月に帰って来る予定です。

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