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自分で作業計画をするパートさんたち
労働力は須藤さん夫婦と母、それに正社員の30代の男性が2人と女性のパートが25人前後。夫婦2人は管理労働が主体ではあるが何でもする。現場作業は人が足りないところに出ていって手伝っている。夫婦の中ではとくに作業分担はしていないが、登代子夫人の経営全般に対する気配りの深さがあるのを感じた。
出荷調整の手間の多いけ事だけに、良質のパート労働力の調達が1番の問題だと須藤さんは言う。世の中の景気が良い時には人などぜんぜん集まらないこともあった。作業能力を考えれば若い人の方がよいには違いないが、大事なのはその中でのリーダーをいかに育てるかだという。
ハウスを見せていただいて、出荷作業をしているパートさんの仕事のモラルが高いのが見て取れた。
須藤さんの農場では、パートの人たちが作業計画まで立てる。10種類以上のハープを栽培しているが、その種類や播種量を決めるのもパートの人たちなのだ。アドバイスはするが市場の様子も考えながら彼等自身でその計画をたてる。現場の作業管理も古くからいてくれるパートさんがやってぃる。賃金は高く払えるに越したことはないが、高く払ったからといって良い労働力が得られる訳でもない。パートさんの白分かちの仕事への誇りがその労働の質を決めているのだろう。須藤さん夫婦は手の足りぬところをリーダー役のパートさんに指示されて手伝っているという状態だという。逆にいえばそれがうまい管理なのだろう。世間の企業経営者にしたらうらやましいような話かもしれない。
移動式パネルシステムの発明
ところで須藤さんは大規模生産者というだけでなく、「移動式パネルシステム」という水耕温室生産技術の開発者として水耕業界では知る人ぞ知る人物である。これは、須藤さんが51年に建てた温室ではじめて実用化されたもので、すでに特許になり全国に普及しているものだ。
数を増やすための開発であり、そのまま温室経営の収益性を上げることにつながる。それまでの水耕栽培では、べッドの脚が地面に固定されていたため作業通路部分が温室面積の30~40%を占めていた。仮に500坪といっても実際にパネルを置ける面積は300坪~350坪ということにな それは温室内に並べる水耕パネルの枚る。建物、暖房費などの固定費が同じだとしたら、いかに配置できるパネルの数を増やすかが収益を大きく左右する。光線や温度や通風が必要なのは作物だ。人は作業する場合にだけ空間が必要なのであり、それはわずかな時間にすぎない。そこで須藤さんはパネルを移動式にすることにより作業者のいないパネルとパネルの間を寄せてしまおうと考えた。地面にレールを敷き、その上にモーターで駆動するパイプのローラーを渡して、水耕べッドを足元から移動させて寄せてしまう方法だ。これによってハウスの有効面積は80%位まで上がった。
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須藤久雄
千葉県君津市
1947年、千葉県君津市生まれ。君津農林高校を卒業後東京青果での研修の後に就農。1966年に500坪から始まった水耕栽培は、今年中には2万坪までに成長。観光農園事業も盛況で、野菜の加工事業も手がけようとしている。
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