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シリーズ水田農業イノベーション

雪国のコメづくり技術を革新する(後編)乾田直播導入の効果と心得 水稲乾田直播の栽培の極意と狙い



直播技術と輪作を活かし所得を守る

最近、日本のTPP交渉への参加が決まり、価格の安い穀物が輸入されることで国内農業の存続を危ぶむ声が高まっている。この状況下にありながら岩見沢地域で乾田直播を加えた「水田での輪作体系」の狙いは、各作物の収量のさらなる向上を目指すことである。恒常的に続く転作で戸別所得補償制度や産地資金制度をフルに活用することで、収量向上は所得拡大に結びつく。乾田直播技術と輪作体系の導入は、農業者の生活を守るための「盾」となるわけだ。


経営存続には攻守のバランスが大切

攻めの農業として、施設園芸・花きなど土地生産性の高い作物の拡大や導入、美味しさや安全性を追求した商品力の高い農畜産物の生産が挙げられる。農業者自らが行なう農畜産加工や直売なども戦略の一つである。食味に加えて、安全・安心、有機栽培を追求するコメづくりも、高価格が期待できることから攻めの取り組みといえよう。食品業界との連携や消費者ニーズに応えていくことは高いハードルであるが、工夫と努力を重ねることは農業者にとって達成感と生き甲斐を生む。

水田経営での直播の導入は、労働力の不足を補うだけではなく、利用しなくなった水稲育苗ハウスや減らせた労働時間を活かし、新たな方向にチャレンジする可能性を広げる。

北海道でも120年以上続く水田の基盤整備や灌漑への投資は、経営を継続できてこそ回収でき、流した農業者の汗は、価値を増し次世代へ継承される水田となる。何らかの事情で穀物が高騰・不足したときは、食料供給を国民に約束する。そのために、水田機能と技(技術・経験)を次世代へ継承(経営存続)する意義を国民に訴える。一方で農家自らが創意工夫し、農業所得の拡大をあきらめずにチャレンジする。このことが国民の農業支持につながる。攻守どちらも合わせ持つことが、水田農家に科せられた使命であり、生き残る術であろう。


挑戦が技術革新を生み出す

古くて新しいコメづくりに挑戦する農業者は、心配や不安からか毎日観察を怠らず、同じ気持ちの仲間と農作業の手を止め、畦畔談義に花を咲かせる。農繁期には珍しくない、岩見沢の水田での光景である。その輪は次第に大きくなり、地域農業の将来を考える機会も増えている。

挑戦によって問題意識が高まり、結果が出ることで厳しい社会情勢に負けない経営を培い、より工夫を凝らす。これが今後の水田経営の明日を考える原動力となって技術の革新が現実となる。一人でも多くの水田農家が乾田直播への挑戦から、生き残りをかけた経営の実践につながることを期待する。

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