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濃厚飼料の畜種別にトウモロコシが使われる割合を図7に示した。乳牛向けのTMRセンターに限れば、多くは輸入原料を使った配合飼料を購入し、粗飼料などと混合している。自給率がほぼゼロに近いトウモロコシが原料の約4割を占めている。
イアコーンサイレージは圧ぺんトウモロコシに成り代わる国内で生産可能な飼料原料として期待されている。10%の水分を含む圧ぺんトウモロコシのTMRセンターでの購入単価は年々高騰し、今年7月の時点でTDN1当たり75円である。2年前は55円程度だったのだから、昨年の米国でのトウモロコシ生産量の減少や円安の影響で約20円も値上がりしている。
スケールメリットを活かしてTMR製造コストを削減
同社のイアコーン栽培は昨年より50ha規模の生産体制になり、55・95haで1100ロール分を収穫、調製した。ロール1個当たりの重量が約750~800で、総量は約760t、乾物重にして10a当たりの収量は915だった。
これに対して製造コストは、栽培管理や収穫調製作業に関わる人件費、機械費、資材費などを含めて、1ロール当たり約1万3700円で、乾物のTDN1当たり約45・46円だった。先の輸入トウモロコシの購入単価と比較すれば、約20円も安いことになる。
収穫機械のフォレッジハーベスターは6月~7月上旬に収穫する1番草と8月中旬~9月中旬に収穫する2番草、さらに9月下旬~10月上旬のWPCSに使ってきたが、イアコーン収穫に使うことで稼働率が上がる。運送費も圃場からTMRセンターに運ぶだけで済むのであまりかからない。
さらに同社は作業を運送会社に委託し、専属スタッフを育成したことも功を奏した。酪農家は乳搾りの合間にしか作業が行なえないため、構成メンバーだけでは適期作業ができない。また、近隣の畑作農家に頼むと食糧用の一般の畑作物と同様に管理作業に手間をかけ過ぎてしまう傾向があるためコスト高になってしまう。深夜、早朝の作業も多く、人件費はかかるが効率的な作業ができるという。
同社のTMRの構成比の一例を表1に示す。現在4種類のTMRを製造しているが、この事例では自給飼料の割合は75%に及ぶ。TDNが高いイアコーンの配合比率をどこまで上げられるのかがコスト軽減のポイントになる。北海道の乳牛1頭当たりの年間乳量は9000に対して、構成メンバーの飼育牛は平均1万500で年々微増傾向にある。
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