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編集長インタビュー

“農山村”という未来型経営資源に注目しよう




農村に経営を取り戻す

昆 私は雑誌を始めてからずっと読者たちに出自を聞いてきました。そうしたら彼らの6、7割は地主か自作農の孫やひ孫なんですね。いま残っている商店主や中小の事業主は金儲けより…
藻谷 町や場を守ろうとする人しか残れない。
昆 そう。だから農地改革があったでしょ。初代の農協の組合長も多くは地主なんですよね。
藻谷 なるほど。
昆 地主は日本の風土の中で人間の生き方を作ってきた。その機能を農地解放で切ってしまったことが、その後の農業に大きく影響しています。そこに利権までがついてきた。今や補助金などの麻薬の中毒患者ばかりですよ。僕なんかはそんなことはせずに、農業やその経営については放っておけ、という考え方なんです。放っておいても現実に経営者は育っているし、イノベーションは起きている。コメでは1俵6500円で作れる人がいるんですから。
藻谷 それはすごい。
昆 規模拡大でコストが下がるなんていうのは嘘ですから。ある農業経営者は100馬力以上のトラクターを持っていて、しかも麦も大豆もコメもソバも種をまくまで同じ技術体系にする。こういったことでトータルなコストダウンはできるんですよ。
藻谷 なるほど、やり方次第では十分にマネー資本主義でもペイできるネタはあるわけですね。ただそうなんだけど、多くの人はなかなかそこまでいけていない。彼らはマネー資本主義ですから、金融投資していれば食えるんだ、と。確かに社会が安定している間はお金があれば食えるが、何かのきっかけでお金が使えなくなることは十分に起こりうる。里山にはお金換算でも大きな資本が眠っているが、一方でお金に換算できない、生き物としての本質を癒してもらえる精神的な資本も埋まっているんです。
昆 里山の価値ですよね。
藻谷 実は八つ墓村事件が起きた隣の集落で、私の友人が婿入りして梨を作っているんです。彼は建築屋なんですが、仕事はないので農業をしているんですが、エンジニア的な感覚でやっているから、多分美味しい梨ができます。だから里山資本主義をやっている人はいるんです。
昆 経営者はいます。しかし、行政が政策的に関与してきたことで農村からはだいぶ経営が奪われてしまった。今まで膨大な金を使ってもうまくいかないのは行政主導だからであって、経営者主導になっていないからですよ。
藻谷 それはありとあらゆる分野で言えることですよね。今日、私は広島県三次市から戻ってきたんです。昨晩、向こうで『里山資本主義』の出版記念パーティがあって、本に出てくる和田さんや熊原さん、中島さんといった山奥の経営者たちが集まりました。彼らと付き合っていて感じるのは、経営者というのは人たらしであり、基本的に事業拡張の欲求があって前向きということ。

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