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編集長インタビュー

“農山村”という未来型経営資源に注目しよう


昆 感性も良くないと駄目ですね。
藻谷 そうですね。先日対談した明治学院大学の神門善久さんは、農業は天才でないとできないと言っていた。おっしゃる通りで、自然のことが分かって、合理的に考えられて、なおかつ人間とのコミュニケーションができないといけない。それこそ経営者です。
昆 ところで農業生産っていうけど、実は消費なんですよ。農家が生産者という言い方は止めるべきです。すべからく我々はお天道様の消費者なんですから。
藻谷 神門さんにも同じようなことを言われまして、目から鱗の思いでした。彼は「農業は太陽光の最有効利用技術ですから」と。まったく同じことですよね。すぐにピンと来まして、つまり単位面積の太陽光はどこも同じですから、でかくなったからといって、規模の利益が働くのは油や肥料漬けのところだけなんだ、と。
昆 でも、それでは経営が成立しない。
藻谷 そうなんですよね。
昆 規模が大きい人ほど肥料や農薬が少ないんです。大量にまけば経営が成り立たない。だから優れた農家はこう言いますよ。1反分で食えない奴は何百町分でやっても食えない、と。
藻谷 それは何ともイノベーティブな人ですね。
昆 経営者としての資質について、ほかに思い当たることはありますか。
藻谷 あとは人のためにやっている人ですね。人のためにやらない人に人はついていかない。受験がそうなんだけど、あれは誰のためでもない。親から「お前のために得だ」って言われてやっているだけ。利己的な行動を幼稚園の時から教え込まれてきているわけですから、おかしくなるのは当然なんです。
昆 しかし、現実の社会ではそんなことは通じない。
藻谷 そう、通じない。僕は社会に出てから20年以上になりますが、どこの大学を出たとか誰も確認しないでしょ。その人間のことは学歴より話したら分かるんですよ。
昆 僕はいま農村経営研究会という組織を作ろうと動いています。農村の経営を役人のリードではなくて、農業者も民間企業も一つのプラットフォームに載せてやっていこう、と。
藻谷 彼らは農村の話になると、急に集落営農が大切と言いますよね。定義不明のノスタルジーに陥ってしまう。
昆 そんなノスタルジーに浸るのではなく、企業の力を借りて農村を経営したらいいんですよ。
藻谷 農業界の人は企業を否定する割には、子どもを企業に行かせたがりますでしょ。あれなんか不思議ですよね。
昆 企業は農業をすべきではないというのが私の考えです、あまりに資本回転率が低いですから。それよりもコミットメントして、農業や農村にイノベーションを与えてもらいたい。たとえばカルビー自体はジャガイモを作っていない。けれども、カルビーほど農業を変えた企業はないですよ。ジャガイモで40万tの需要を作ったわけですから。

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