記事閲覧
【弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖】
購入した農地が引渡前に耕作不能となったら代金を払わなくても良いのか
- 弁護士 戸出健次郎
- 第3回 2013年09月24日
- この記事をPDFで読む
【回答】
農業委員会の許可前か後かにより結論が異なります。
農業委員会の許可前であれば、代金を支払う必要がありません。しかし、許可後であれば、代金を支払う必要があります。
【解説】
(1)売買の目的物が滅失してしまうリスクを誰が負うのか
民法は、売買の目的物が大量生産で製造された個性のない物(「不特定物」といいます。)である場合、売買契約後、引渡前にその物が滅失した場合のリスクを売主が負い、逆に、売買の目的物が個性のある物(「特定物」といいます。)である場合、このリスクを買主が負うとしています。
分かりやすい例を挙げると、車を買う契約をした後、納車前にその車が洪水で流されて廃車となった場合、その車が新車であれば不特定物なので、買主は代金を支払う必要がないのに対し、中古車であれば特定物なので、買主は代金を支払う必要があるという結論になります。
これを本件にあてはめてみます(このルールの法的な根拠については難解な理論があり、その説明はここでは割愛します。)。農地は、日当たりや土質などそれぞれの場所ごとで個性のある物ですから特定物であると評価され、上記のルールに従うと、ご質問者は代金を支払う必要があることになりそうです。
しかし、農地の場合、売買には農業委員会の許可が必要とされているため、通常の売買契約とは事情が異なります。
会員の方はここからログイン
戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
ランキング
WHAT'S NEW
- 年末年始休業のお知らせ
- (2020/12/17)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2020/08/07)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2019/12/12)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2018/12/25)
- 展示会に伴う一部業務休業のお知らせ
- (2017/10/04)
