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岡本信一の科学する農業

農産物の安全と安心のはなし(1)




農業界には危険に対する認識が不足している

さて、本題に戻りましょう。農業分野では「安全」という言葉が気軽に使われています。ところが、食品業界や食堂など飲食業界でも、安全であることが必要であるはずの交通機関でさえも安全を標榜している商品や企業はないと思います。理由を簡単に述べると、危険をゼロにすることはほぼ不可能なためです。危険をゼロにできるとしてもコストとの兼ね合いを考えるとその意味がなくなってしまうこともあります。
これはリスク管理をする分野では理解されていることですが、農業界では、危険はゼロにならないという認識が足りないのではないかと思います。だからこそ、どんな危険性があるのかを理解し、常に最善と思われる策をとる必要があるのです。
今回安全に触れようと思った一つの理由は、農産物を直接販売したり、農産加工分野に踏み込んだりするケースが増えていることにあります。農産加工についてはあまり詳しくありませんが、直販よりもはるかに危険因子を増やすことにつながると考えられます。農産物の洗浄から、加工、梱包、保存といった流れを想像するだけで、非常に多くの危険が潜んでいることが分かります。工程が一つ増えただけで、その分だけ危険性が増すのです。
実際に農産加工をしている現場に堆肥場からそのまま足を踏み入れるなどということはよく見聞きします。実際の現場でも、加工品の衛星管理への配慮不足を危惧する声が上がっているようです。この点についてはこれ以上触れませんが、基本的には農産物の安全確保策には、通じることがあります。

危険性や安全性の質問に答えなければいけない

もう一つの大きな理由は、最近、非常に農薬の危険性を誇張し、「無農薬で栽培された農産物であれば安全である」というような販売業者の宣伝を数多く見かけることです。その影響からか、農薬を使用しないことや使用量を減らすこと自体が安全につながっていると勘違いしている農業者が非常に増えている点を危惧しています。
農薬を使用しない無農薬栽培は、環境負荷や農業者の負担などを考えると非常に良いことだと思います。その一方で、農薬の代わりに安全性の確認がされていない資材を使用していれば、話は異なります。極端な例には、農薬の使用を控えるために使用した天然・自然系の資材に発ガン性があることが発覚したこともありました。良かれと思って使用している農薬以外の資材の方が危険性の高いものであるという可能性も注意しなければなりません。

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