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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
「1985年以降に生まれた者は使い物にならないね」
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第65回 2013年09月24日
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農場労働者に求めるセンス
トロイは「外国人のことさ」と説明してくれた。バック・パッカーは何か金髪・ブルーアイのオージー旅行者で、若者特権である“当てのない旅”の延長を考えていたが、まさかストレートに外国人という単語が出てきたことには少々驚いた。
オーストラリアはヨーロッパやアジア諸国と、簡易な労働を目的としたワーキング・ホリデーのシステムを導入している。猫の手でも借りたいような時に彼らをアルバイトとして働かせることが容易な環境ではあるが、雇用主は宿泊施設、食事の管理のみならず、現地の法律で各種の保険や税金のために煩雑な事務作業が発生する。早い話、良い奴が来ればその投資に値するが、怠け者や性格の良くない、使えない奴は全体の2/3くらいになるようだ。マジメかどうか、英語ができるかどうかよりも、農業という多様なことを同時に扱えるセンスを持ったネイチャー(ネーチャンではない)が大切らしい。
そこでトロイが理解したのは「1985年以降に生まれたやつは使い物にならない」ということだとか。残念ながら彼の発言に留まらず、オージー全体としての傾向のようだ。
日本の85年といえば、プラザ合意後の円高、その後のバブル経済で、東京ではこの世を謳歌しないことは恐怖であり、この宴が永遠に続くと考えていた頃である。まっ、今の北海道の片田舎から冷静に検証しても、本来であれば富を国民と共有、再配分できなかったこと自体が、本当の豊かさではなかった証明になるのだろう。しかし、日本でも本当にトロイが言うように85年以降生まれは使えないかというと、決してそのようなことはないのだが……。
このような例がある。私の農場では私が25歳くらいの時から、小麦の収穫時に高校生のアルバイトを数名雇用してきた。かつての作業内容はコンバインの能力や性能不足などで麦が機械の中で詰まったり、乾燥場で小麦を移動したり、どうしてもマン・パワーが必要だった。ただこの20年くらいは機械の性能向上もあり、高校生アルバイトはあくまでもエマージェンシー要員で、日中は床掃除がメインの仕事になった。30年前の労働環境と隔世の感があるのは、近代化が進む農業への予算配分に感謝するところだが、日本をもっと豊かにさせるのに関係省庁の遺伝子組み換え技術を普及させない姿勢は除かせていただく。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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