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特集

農業での雇用を考える




事例紹介CASE1
水田・畑作
若手の雇用は、産業として独立した
農業のための未来への投資

農業生産法人有限会社ソメノグリーンファームは、茨城県の南西部に位置する坂東市にある。経営面積は水田が40ha、48haの畑では二毛作を含めた作付面積で六条大麦のカシマムギが27ha、ジャガイモが5・5ha、ソバが18haとなっている。その他、パン屋と契約して小麦のユメカオリの生産を始め、今年は0・3haだったが、来年からは8haを予定する。
事業としては、農産物の生産以外に、コメの仕入れや販売などをしている。年商は約1億2000万円で、うち、農産物の売上が9000万~1億円を占める。
現在、従業員は、母と妻に加え、正社員が5人、通年雇用のパートが1人、繁忙期にはパートがもう1人とアルバイトを4人雇用する。76歳になる母には乾燥機の手配など家でできる作業を、妻には事務処理や農産物の検査などをしてもらっている。正社員の5人は農地での作業要員になり、通年雇用のパートは精米や納品などが担当となる。アルバイトは、ジャガイモの収穫期の1カ月間ほど、シルバー人材センターから来てもらっている。
正社員のうち、1人は40代で、ほかの4人はすべて20代である。雇用した理由は、経営規模の拡大もあるが、それより大きな意味が実はあり、将来、自分の農業への思いを引き継いでくれる、若くてやる気のある人が欲しかった。
私にはもともと農業の経営に対する夢があった。それは、産業として独立した農業をするということである。当初、小規模農家だった私は、プロとしての農業のクオリティーの高さを追求した。すると、だんだん仕事が増え、土地を貸すから作物を作ってくれと言われるようになった。結果、大きな経営ができる見込みが出てきた。農業を一つの産業として経営していくためにも、自分の右腕を育てたいと思い、人を雇い始めたのである。
将来的には現在の社員の1人に後継者となってもらおうと思っている。日本では、とくに農家では「家」は代々子供が継ぐという考え方がある。他人に任せるより子供に継いでもらったほうが安心なのだろう。しかし、これからの時代、それが通用しなくなってくると思う。私も、自分の娘たちに無理に継がせようとは思っていない。能力とやる気のある人が、農業に取り組んでいったほうが産業として成り立つのではないだろうか。
私にとって、若い人を雇うことは未来への投資である。お金を残すより、農業にかける思いを継いでくれる人を残すことのほうがより重要だと考えている。農業をやりたい人たちにチャンスを与えたいとも思っている。

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