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特集

農業での雇用を考える



【スーパーマンでなくても元気があればいい】

20代の正社員たちは、農業をやるチャンスが欲しかったという。3人は農家の次男で、もう1人は自営業の次男である。
29歳になる農場長は、私の母校でもある茨城県立農業大学校の先生に紹介してもらった。23歳、24歳の2人は、同校農業部水田コースの卒業生で、やはり先生の紹介となる。
27歳の人は農業技術通信社のセミナーでスカウトした。福井大学の大学院を出たそうだが、農業をやりたいというので、2週間の研修を経て入社してもらった。彼は、農業は未経験だったため、最初は彼も私も大変だった。たとえば、「ロータリーをかけて」と言うと、農家や農業大学校の出身者たちは作業をイメージできるが、彼は機械も作業もイメージできない。そんなこともあって、彼は相当努力したと思う。もともと勉強熱心ではあった。
私は、やる気のある、良い従業員たちに恵まれたと思う。
しかし、初めて採用した正社員はすでに辞めてしまっている。彼は、新規就農者の就職先をあっせんしていた農業会議所を通じて採用した。ところが彼は、自給自足の牧歌的な農業をイメージしていたため、現実の農業を知ってギャップを感じ、収入にも不満を持ったようである。
人を採用するならば、経営者として最大限の欲をいうと、何でもできるスーパーマンが欲しい。作物を作ることができる、営業もできる、近隣との付き合いもできる人。でも、すべてを望むのは無理な話である。だから、私が人を採用する決め手は一つしかない。何といっても元気のいい人。元気があって、挨拶ができて、明るい人。そういう人だと、互いのモチベーションも上がる。私たちは毎朝ミーティングするが、そのとき冗談を交わせるぐらいだとやはり職場は楽しい。
その点、今の社員たちは入社時から明るかった。明るい人は、仕事に対してもやる気があって積極的である。農業を始めて3~4年しか経っていなくても、ここはこうしたほうがいいなどと、前向きなアイデアや意見を言ってくれる。頼もしい限りである。
私も経営者としてしかるべきときはしかるが、従業員とはフレンドリーな関係にいる。私も彼らと一緒に作業しているせいか、同じ仕事仲間で少し上の人だぐらいに思われているようである。

【マニュアル化しすぎると自分で考えなくなる】

採用した社員には、マニュアルを見せるのではなく、職人のように仕事や作物を見せるという指導をする。マニュアル化については意見が分かれるところだと思うが、私たちはこの方法を採っている。

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