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特集

農業での雇用を考える


加工のほうは、とくに繁忙期だからといって人数は増やしていない。雇用状態は安定している。アイスクリームとソフトクリームが主力だが、これらについては冬場のうちにどんどん作っておいて夏場に備える。
ナチュラルチーズや生クリームなどの生ものは販売時期に合わせて前もって製造を始める。たとえば、ナチュラルチーズのゴーダとかチェダーは、何カ月も前に作り込んでおく。熟成させるのに5カ月から、長いものだと10カ月かかる。だから、前年のデータを見ながら、いつどのくらいつくるか決めて作業する。生クリームについては、繁忙期につくることから、それこそ忙しく対応している。ほかに牛乳とヨーグルトも販売する。
少量多品目で、手作りしているため、値段は高めの設定である。原料となる生乳は、すべて当牧場でとれたものだけを使っている。
現在、1日の生乳の生産量は、2・7tである。そのうち、0・5tを当牧場で使っており、それ以外の2・2tは、東海酪農業協同組合連合会に出荷している。
当牧場でつくった加工品は、牧場に観光にいらっしゃるお客様に直接販売したり、インターネットで販売したり、お中元用などとして大手のスーパーマーケットやデパートにも卸したりしている。そのため、卸売の担当に2人をつけている。
販売の従業員の雇用状態も安定している。観光シーズンになると、レストランや売店のほうは高校生や大学生のアルバイトを雇う。なかには夏休みを利用して短期のアルバイトをしにくる社会人もいる。観光地で寮もあるため、ここで働きたいという人が多いようである。
アルバイトとして働きにきた人たちのなかで、これはいいなと思った人はそのまま継続して働いてもらうことがある。最近は新卒も雇っている。とくに女性が多い。レストランや売店は他の部門より定着しやすい。
夏場以外の閑散期も、通年雇用の従業員はそのまま雇用している。近くにスキー場があり、建物の中に直営の食堂もあることから、12~3月はそこに従業員を派遣する。そうやってうまくバランスを取っている。

【人材の定着率が低い酪農部門、女性従業員に期待】

一方、加工や販売に比べると、酪農に従事してくれる人がなかなか定着しない。
酪農の作業は、動物が相手のため、365日休みがない。主任を含めて7人体制で対応し、交替で作業して1人が月に6日休むようにしている。
1日の仕事は集乳の時間に合わせており、何といっても朝が早い。朝の3時半に起きて8時まで搾乳し、その後に朝食をとって9時半から12時まで除糞するなど牛の管理をする。午後は、2時ごろから搾乳の準備をした後、3時か3時半から搾乳を始め、6時に作業を終える。だから、気軽にポッと来て、できる仕事ではない。

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