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あの機械この技術 私の取扱説明書

理想的な播種を追って乾田直播を極める/1筆平均10aなくても最大限の利益を出す

福岡県の中南部に位置する太刀洗町に、乾田直播に1本化して3年目になる柳利喜さんを訪ねた。理想に応える播種機がないというのが悩みであり、楽しみでもある。考えた末に購入した1台目の播種機はブロードキャスターだった。散播から始まった彼の乾田直播は、点播を求めて次のステージに移行しつつある。
柳利喜さんが機械利用組合長をつとめる下高橋農業生産組合は約90戸から構成され、水稲と小麦の二毛作を中心に約100haを管理している。柳さんの作付面積はそのうちの約1割に相当する大豆5ha、水稲6・3haで、水稲、小麦、大豆の2年3作の輪作体系を導入している。
吹奏楽に明け暮れた20代を過ごした後、実家の兼業農家を継いで本格的に農業を始めた。約20年前、地域の機械利用組合ができたことが決め手になった。2~3haと面積が小さく、田植機やコンバインなどの機械を自前で揃えるのは難しいと考えていたためである。その後は「周りと同じことをやっていたらできない」と地域の先輩たちの話に耳は傾けるものの、観察眼を鍛えて独自の作業体系を構築してきた。
作業請負では専ら代かきを担当しているが、7~8年前から無代かき移植、乾田直播に挑戦してきた。そして、3年前に6・3ha全面を乾田直播に切り替えた。最大の理由は経費の削減である。
育苗は農業を始めて以来、組合に委託してきた。代かきと田植え作業費、苗代を合わせると、委託費は10a当たり2万数千円になる。オペレーターとして受託費を受け取っているが、コストは見合わない。乾田直播で行なえばこの委託費はかからなくなり、面積が増えるほど機械の償却費を減らせるというわけだ。
しかし、問題は理想に応える播種機がないことである。考え抜いた末、小麦の播種用に購入したスパウト式のブロードキャスターによる散播を選択した。時速8で播種した後、バーチカルハローで覆土してローラーで鎮圧する。散布ムラは重複して播種することによって解消した。播種機に比べて耐久性があり、掃除やメンテナンスの手間がかからないメリットがあった。その反面、散播した圃場は管理作業の際に圃場に入りづらかった。
そこで、昨年からアグリテクノ矢崎製の播種機を導入し、播種量を10a当たり2~2・5に減らして点播を目指す取り組みを始めた。播種機の鎮圧ローラーに加えて、まんべんローラーでさらに鎮圧する。
秋の麦播きは肥料と種を混ぜて散播する予定とのこと。播種方法に工夫を凝らす柳さんの思索はまだまだ続く。 (加藤 祐子)

福岡県太刀洗町
柳 利喜 氏(55)
【経営データ】
■経営面積:
大豆5ha、水稲6.3ha(夢つくし、元気つくし、ヒノヒカリ)、作業受託(下高橋農業生産組合にて)
■自作地:3.0ha(その他は借地)
■売り先:JAに全量出荷

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