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津軽・黄金崎農業通信

雪をかきわけてのニンジン収穫。新たに経営陣に加わった4人の若者たちの活躍が楽しみな春です

私どもの農事組合法人黄金崎農場は、青森県の最西端、西津軽郡深浦町に拠点農場を置く共同経営方式の農場です。平成7年は、380haの作付けで、まだ最終決算が出ていませんが、売上げは 4億8000万円ほどが見込まれています。今年は、小麦、ダイコン、バレイショなどを併せて400ha以上の作付けに挑み、5億円以上は確保したいものと、いま張り切っています。また昨年までの20年間、代表の佐々木君夫(46)、竹内雅孝(45)、それに私の3人で農場を運営してきましたが、このほどよ80haの農地を新規取得したのを契機に、従業員(周年雇用者をこう呼ぶ)であった4人(いずれも30代)を新たに経営陣に加え、7戸の共同経営体として体制を充実しました。北国の農業は、寒さ、風、それに雪との闘いがあります。しかし一方、こうした厳しく、しかも気まぐれな気象条件を克服して農業生産をやり遂げたときの喜びは、至上のものです。日本海や、世界自然遺産の白神山地、あるいは津軽の秀峰といわれる岩木山(1625m)などの大自然が周囲をめぐる農場の四季を織りまぜながら、これから数回にわたって、私たちの大型農業経営に賭ける様子を報告します。
春・大地との闘い始動


 日本海に面した深浦町は、対馬暖流が沖を北上しているため、青森県内では南隣の岩崎村とともに最も早く春がやってきます。それでも、今冬は、寒さが厳しく、いつもより春はゆっくりと農場にやってきました。事務所から見える白神の山々も白い服をまだ容易に脱ぎそうもありません。4月3日には、この時期では例をみないほどの雪が降りました。

 しかし、どんな気象になろうと、知恵を出して作物を安定生産するのが、農業に携わるものの役目です。4月上旬、深浦町の本場(小作地を含めて耕作地は8ヵ所にあり、事務所周辺の農地を「本場」という)では、雪と冬の寒さに耐えた50haの小麦が、まだ冷たい北風にも負けまいとして伸び始めています。

 心配した雪腐れ病もほとんどみえず、生育は順調です。まもなく1回目の追肥を行ないます。トラクタにブロードキャスターをつけて、2日ほどで一気に済ませます。「大型農業機械を駆使する」

――これがこの農場発足時の私たちの夢でした。それを実現させているのです。

 またいまは、越冬させた契約ニンジン10haの収穫の真っ最中でもあります。残念ながらメーカーサイドによる完全な機械掘り体系が確立されていません。そこで、農場オリジナルの機械で土ごと浮かせてから、人力で掘り上げています。降雪などのときは、なかなか大変ですが、チームワークをよくし、効率のよい作業に努めています。

 3月下旬から始めたニンジンの収穫は、4月半ば頃まで続きます。昨年は全国的に過剰となったせいもあって、ニンジン市場は大崩れしましたが、農場のニンジンは契約栽培で、それほど安値には泣かされません。大手メーカーの健康飲料の原料として供給しており、毎日大型トラックがメーカーの加工場めざして農場から出発しています。

 私たちはこのニンジンだけでなく、主力のダイコン、バレイショとも契約栽培をベースにした経営展開を行なっています。この契約栽培を確実にやりとげてきたこと、これが今日の黄金崎農場をつくりあげたと確信しています。確実な収支を見通せた経営ができたということです。契約栽培といえども、毎年価格変動の影響は若干受けますが、それでも市場競争だけにさらされている農産物よりは安定した収入が得られるのです。

 畑では、ニンジンの収穫をしていますが、この4月始めという時期は、まだ14台もあるトラクタが畑を疾駆していません。本格的な作業に備えて、農場に働く若者たちは機械の保守点検に全力をあげています。

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