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岡本信一の科学する農業

農産物の安全と安心のはなし(2)




正しい使用方法によって危険は最小限に抑えられる

さて、農薬への忌避感によって、有機栽培や無農薬栽培で作られた農産物は安全であるというような認識を持つ方は、消費者だけでなく、農業者でも少なくないようだ。農薬を使用しなければ安全とばかりに、安全性の確認がされていない資材を使用するのもまた問題である。しかし、農薬を使用していない無農薬だから安全というような言葉が安易に使われることで、消費者に間違って伝わるケースも跡を絶たない。
農薬取締法では、稲作の除草や害虫駆除に活躍するアイガモなどの生物も特定農薬として指定されている。農薬や特定農薬を除けば、病害虫の防除、除草などに使用してはならないという法律がある。食べて安全なものであっても農産物の栽培に使用していいと認められているわけではない。腐ってしまうものであれば雑菌を増やしているようなもので、かえって病原菌汚染の危険を増やす原因にもなりかねない。
登録されている農薬は、どの程度の危険があり、どのように使用すれば消費者に危険が及ばないのかが明確に分かっている。使用方法さえ守れば危険は最小限に抑えられ、コントロールできる状況にある。一方、農薬以外のものを使用した場合、どのような危険があり、どのように使用すれば危険を回避できるのかは明確ではない。天然物、自然物であるからといって、危険をもたらさない安全なものであるとは限らない。農業者が無農薬を意識して農薬の代わりに無許可の防除資材などを使用し、未知の危険を増やしてしまうのは避けなければならないのである。
消費者や世間が何となく農薬が危険であると考えていることに対して、実際に使っている農業者がその雰囲気に乗ってはならない。何のために農薬を使用するのか。農薬は農産物を生産するために選択する手段であり、目的ではないはずである。農薬の危険性は、農産物の安全にとって一つの要因に過ぎない。すべての危険をそれだけで排除できないのは言うまでもないことである。農産物の安全、安心が掲げられているにもかかわらず一部の生産者を除けば、以前の状態から意識も行動も変わっていないという現状を危惧している。

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