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シリーズ水田農業イノベーション

特別編 水田での子実トウモロコシ生産の実際(前編)~柳原・盛川・宮川氏の経営実験の報告と提案~


柳原氏のデータは、水田転作地でも当たり前に外国製普通型コンバインが使われている北海道の例であり、機械操作に長けた同氏であればこそのコストだとも言える。しかし、その作業料金はコントラクターとしてその作業を請け負った場合の料金で、生産農家はそれだけを払えば済むことになる。府県の狭い農道では、外国製コンバインが自由に走行できる条件は限られており、そのためにはぜひとも国産コンバインの普及が期待されるところだが、作業能力の問題から、柳原氏の試算や盛川氏の作業時間よりコストや労働時間が増えることになるだろう。それでも、このコストと作業時間の差は、子実トウモロコシが明らかに投下資本、投下労働力当たりで見ると収益性の高い作物であることを示している。
柳原氏が24年産で試算した子実トウモロコシの収支(表2)をさらに見ていこう。
(1)は柳原氏と兵庫県の養鶏生産者であるオクノとの取引の収支である。物流コスト(10円/kg)を含む50円/kgという価格でオクノに販売している。この収支は、飼料作による水田転作の10a当たり3万5000円の交付金とこだわりの鶏卵生産をする奥野氏の持ち出しによって実現しているものだが、柳原氏は10a当たり4万4000円の収益を得ている。また、(2)は反収が800kgで、物流コストのかからない地元の需要家に35円/kgで販売した場合の収支で収益は同4万円、さらに(3)は同じく反収が1tになった場合の収支で、同4万7000円が農家の手元に残る勘定になる。
10aという「生産面積」当たりの計算ではなく、本来の常識的経営計算である「投下資本」「投下労働力」当たりで計算すれば、むしろ収益性ははるかに高いと言うべきなのだ。
トウモロコシの東京先物相場のトン当たり価格推移は2万円から高騰時には5万円にまでなる。しかし、平均的には2~3万円というレベルだ。1kg当たりに換算すれば20~30円ということになる。仮にこれで生産が成り立ったとしても、それは畜産農家の負担によってのことだ。この内外価格差を狭めることはできないのだろうか。次号ではその解決策に関して提案をしてみたい。

子実トウモロコシ生産の収穫実演・検討会10月30日、大潟村で本邦初開催!!

10月30日、秋田県大潟村の(株)正八(宮川正和社長)の圃場と秋田県農業研修センターを会場にして「子実トウモロコシのコンバイン収穫実演と水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会」(本誌主催)が開催された。当初、10月17日に岩手県花巻市の(有)盛川農場(盛川周祐社長)での開催を予定していたが、開催目前に台風26号の影響を受けることが予想されたために急きょ中止となり、改めて盛川氏と同様に今年子実トウモロコシの生産に取り組んだ宮川氏の大潟村での開催となった。

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