記事閲覧
【弁護士・戸出健次郎の困ったときの相談と転ばぬ先の杖】
農地の使用借権は法的にどこまで保護されるのか
- 弁護士 戸出健次郎
- 第5回 2013年11月20日
- この記事をPDFで読む
私は、20年以上前から、叔父が所有する農地で数種類の野菜を耕作して生計を立ててきました。親戚同士なので、契約書等はなく、賃料を払ったこともありません。当然、農業委員会の許可云々も考えたことはありません。ところが、先般、親戚が亡くなり、その相続人から突然土地を返すように言われてしまいました。私は、農地を返さなければならないでしょうか。
【回答】
原則として、返さなければなりません。ただ、例外的に、農地の使用借権を時効取得している場合には、即時に返す必要はありません。
【解説】
1 使用借権とは何か
物の所有者の許可を得て、その物を無償で使わせてもらう権利を「使用借権」といい、民法で認められる正当な権利です。シンプルにいえば、賃料を支払って借りれば賃貸借、無償で借りれば使用貸借となります。
2 使用貸借契約の有無
無償で使わせてもらう使用貸借といえど、契約の1つなので、使用借権を主張するためには、貸主・借主両者の合意(使用貸借契約)が必要です。
ご質問者の場合、おそらく、叔父様も農地を使用することについて納得していたのだろうと思われますが、契約書がなく、農地法の許可も得ていないので、叔父様亡き後、契約の存在を立証することは困難でしょう。
よって、原則として、農地を返還せざるを得ないことになります。
会員の方はここからログイン
戸出健次郎 トデケンジロウ
弁護士
平成12年 学習院大学法学部卒、平成19年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、平成22年 悠綜合法律事務所パートナー、平成22年度第一東京弁護士会代議員、専門分野:農業分野(法務、税務)、不動産関連業務。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)