ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

未来思考の農業IT 農機オタクのおもちゃで終わらせないために

ISOBUS(2)


また、調整運転のいらない機械を実現した事例としては、播種機が挙げられよう。すでに松山より発売されている播種機(図3)は繰り出し部が電動で、播種量はコントローラで設定可能なため、場合によっては数時間を要する調整運転を大幅に減らすことができる。この機能は作業機自体の電子制御化恩恵を受けている。通信制御共通化のメリットではないものの、このような機能の作業機を様々なメーカーのトラクターに接続できることで、メーカーにとっても新しい技術を市場に投入する際の支えとなる。もちろん、車速センサー等のつなぎかえや再設定を必要としないため、複数のトラクター間でも使い回しできるのがユーザー側のメリットである。

情報提供も「標準化」の方向へ

一方、「より高度な情報利用」に関しては、通信制御共通化技術により走行軌跡や接続した作業機の制御情報から作業日誌や帳簿を自動的に生成するなど、生産管理システムの利用がずっと身近になるだろう。すでに様々な企業や大学・研究所で開発されて普及しつつあるが、情報入力については手入力が多い、あるいは自動入力が可能でも対応するメーカーや機種が制限されているといった問題がある。
現在、農水省の「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」の「土地利用型営農技術の実証研究」における課題「農業オープンクラウドプラットフォームの標準化」の中で北海道農業研究センターと国内企業が共同で「より高度な情報利用の実現」を目指した研究開発と実証に取り組んでいる(図4)。この課題では、「メーカーや農業機械の新旧を問わない」情報利用の実現を目指している。農業機械や圃場に設置したフィールド・サーバーなどのセンサーから得た農作業の情報を「標準化」した方法・様式で提供できれば、手入力なしでも詳細な情報を記録し、さまざまなアプリケーションでその情報を利用できる。現在策定が進んでいる無線通信の国際標準に沿った形で進めており、「ガラパゴス化しないサービス」が実現できるものと期待している。

まとめ

農業機械における通信制御の共通化技術は、電子制御化のメリットを最大限に発揮するための基盤となり、農業機械のシンプル化と高度化の両立を果たすための根幹となる。欧米が先行して取り組みを進めているが、日本においても国際標準に準拠した技術の開発を行なうとともに国内規格へ反映され、対応する農業機械の市販化も始まっている。

関連記事

powered by weblio