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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
医療利用の可能性
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第12回 2013年11月20日
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医療利用の可能性
今年8月11日に米国CNNチャンネルでサンジェイ・グプタ博士によるメディカル・マリファナのドキュメンタリー「WEED」が放映されて全米で大反響となった。1日に300回もてんかんの症状が出ていた幼児を救うために奔走した両親とそれに応えた大麻草(以下、麻)農家が取り上げられた。あらゆる治療法を試しても改善しなかったのが麻を摂取することで発症頻度が1週間に1度程度にまで劇的に軽減したのである。これは麻の医療利用をテーマにした全米初の大型番組となった。
米国カリフォルニア州でナンバーワンの農作物は、2011年時点で医療利用の麻である(図表1)。140億ドル(約1兆4000億円)という市場規模は、同州の農産物販売額で第2位の乳製品の2倍近くを稼いでいることになる。全米では10年時点ですでに10兆円産業とも言われており、世界で最も有望な薬草農業の地位を固めつつある。
麻には繊維や食用だけでなく、5000年以上前から痛み止めや食欲増進などの薬草として使われてきた長い歴史がある。例えば、世界最古の医学書の一つである神農本草経(しんのうほんぞうきょう)には、「麻賁(まふん):大麻草の雌花」として紹介され、無毒で長期服用可能な「上品」に位置付けられている。日本では、江戸時代の書物でその薬効が紹介され、明治時代には喘息や鎮痛の医薬品として印度大麻草(草、チンキ、エキス)が日本薬局方の第一局から第五局(1886年~1951年)まで65年間収載されていた。
しかし、麻の有効成分が水に溶けにくく、効果が不安定だったことや他の強力な薬剤の登場によって近代西洋医学から姿を消した。医薬研究までは禁止されていないものの、1961年に麻薬に関する単一条約が制定され、麻薬として国際的な管理下に置かれたため、多くの国で医薬研究を進めにくい状況になった。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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