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岡本信一の科学する農業

農産物の「非科学的」な誤解を解く


また、『食品標準成分表』には一品目について一つの栄養価しか記載されないので、周年で供給される野菜の場合、年間の平均的な数値が記載されている。実際に旬の時期に出回っている野菜だけを取り上げたら昔と比較して大きな変化がなくても、年間を通じて供給されている期間の平均的な栄養価をみると、下がっているとなる。品種の影響や他の様々な要因も考えられるが、栄養価の高い農産物を食べたいのであれば旬の野菜を中心に選ぶのが最も正しい方法である。
栄養価やおいしさは、大雑把に以下のような栽培条件に左右されると考えられる。重要な順に並べると(1)栽培に適した風土(地域)、(2)栽培適期・旬、(3)鮮度、(4)品種、(5)栽培方法となる。栽培方法による努力がよく宣伝に使われているが、栽培適期に作られた旬のものや適地で作られたものには到底及ばないのだ。


有機・自然栽培の農産物は
本当においしい?


次に日本の圃場では土中の微量要素が足りないという噂は、多くの場合で眉唾ものである。雨が多いために日本の土壌の微量要素が流亡しており、そのために多くの作物栽培において微量要素欠乏に陥っているという実態をほとんど聞いたことがない。これまでに多くの圃場で微量要素まで含めたデータを扱ってきたが、土壌中の微量要素が極端に不足している圃場というのはあまり見受けられない。
微量要素の場合、土壌中の量よりも作物側で微量要素を吸収できるように根を張らせることのほうがはるかに重要になる。太い根の張りを良くすることではなく、根毛と呼ばれる非常に細い目に見えない根を張らせることがより効果的である。
根毛がしっかり張っているかはすぐに確認できる。圃場周辺の雑草を抜いてみると、たいていは土ごと抜けてしまうはずである。これが「根が土をしっかり掴んでいる状態」で、根毛の張りが良いことを表している。同様に、ほ場内で作物を引き抜いてみて根を観察してみていただきたい。多くの根が土をつかんでいない状態ならば、微量要素だけではなくリン酸など根毛の張りによって吸収力が左右される栄養素についても十分に吸収できていない可能性が高くなる。微量要素の欠乏を心配するのであれば、土壌に微量要素を供給することよりも根の張りを良くして微量要素を吸収できるような根を作るべく策を講じるべきなのである。
では、根毛をはらせるにはどうしたら良いのだろうか。次の問題を考えながら、その点を解説したい。

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