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新・農業経営者ルポ

ジャガイモで1億を稼ぐ九州男児


その最大の特徴が冒頭で述べたソイルコンディショニングシステムである。これは、通常の2畝分の土を寄せて巨大な一つの畝を形成するベッドフォーマーと、その山をふるいにかけるようにしながら機上で砕土して2畝分の播種床を造成するセパレーターからなる。
ポテトハーベスターは大小5台を所有する。とはいえ、収穫期に向けて迫りくる梅雨に、台数のみでは解決に導けない。複数用意したうえで、なおかつ効率良く作業を進めるには塊茎の選別に集中できる条件設定が求められる。なぜなら、塊茎と一緒に石や土塊がポテトハーベスターの選別場所である機上に上がってくると、除去する人間の手に合わせて各コンベアの回転速度を落とさざるを得ず、結果として打撲痕が多く発生しやすくなると同時に作業能率も低下する。それを未然に防ぐのがソイルコンディショニングシステムでの作業なのである。圃場条件の悪いところを中心に全体の1/3でこのシステムを運用している。豊作年だった07年には非実施の畑に比べ3倍近く作業能率に差が出たという。
管理作業も能率を左右するポイントだ。周囲が2~3回程度で防除を済ませるなか、岩切は予防目的で7~8回は殺菌剤を散布する。この防除にしても収穫にしても土壌の排水性がカギを握るが、岩切はレーザーレベラーで地表面に3/1000の傾斜をつけて表面排水を促すとともに、後述の農業土木の一営業品目である暗渠で降雨の影響を極力受けない状態を整えている。
ちなみに、プランターは1畦の機械を改造して3台連結したマルチングプランターを用いる。1日当たり1~1.5haで、12月10日ごろから始める作業は年明けの2月末ごろまで続く。都府県の春作ジャガイモでは一般的なマルチ栽培を利用することで植え付けの長期化が実現できている。来年は75haの作付けを予定しているという。
それ以外の作物では、ジュース用ニンジンの契約栽培が15ha、加工食品用ホウレンソウの契約栽培が50ha(来年は受託管理の4haのみ)、契約販売の飼料稲が90ha(一部作業の受託分が別に30ha)、契約販売のデントコーンが70ha(受託分が別に50ha)ある。ジャガイモ作を含め、これらは機械を駆使して行なう。各品目の作付面積の拡大と大型機械の導入・リースで作業能率の向上とコスト削減、適期収穫によるA品率のアップで収益の確保を図っている。

経営をけん引する農業土木、ブッシュチョッパーは全国展開

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