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新・農業経営者ルポ

ジャガイモで1億を稼ぐ九州男児


「3つの事業のどれかで経営を支える」
養蚕業のころから始めていた農業土木は、農地の基盤整備をはじめ、客土や宅地への整備、暗渠排水工事とさまざまである。最近では2~10枚の田や畑を1枚にしたり、暗渠排水工事の受注が増えているという。
そんななか、ここにしかない技術が「ブッシュチョッパー」というパワーショベルのアタッチメントであり、その機械の製造販売と受託作業である。もちろん、利益率も高く、毎日2~3件は見積もりの依頼があるそうだ。
20年ほど前、岩切は畑の周囲の草刈りや竹、雑木などを処理する機械はないかと各方面を探した。だが、畑用はあっても、そういった用途で適当なものは国内外どこにもなかったという。では、パワーショベルの先端に草刈機をセットしたらどうだろうというところから発想し、自社製造を試みて開発したのがブッシュチョッパーだった。この機械は、竹や直径15cm以内の雑木、つる類など何でも刈り取って粉砕できるうえ、ストローチョッパーと同等の作業も可能なため、耕作放棄地の解消や河川、山林などの環境整備に有効だという。
しかし近年では、処理したものを現場の外に搬出する要請が増え、とくに河川や宅地の造成ではそれが絶対条件になった。試行錯誤の末、完成させたのがブッシュチョッパーにアタッチメントで取り付ける「アースシェーバー」である。ブッシュチョッパーで粉砕したものを集積、トラックなどへの積み込みまでこなせる。
現在ではこれらの機械を携え、全国規模で事業を展開するに至っている。
「ないものはつくる」
これは、ブッシュチョッパーとアースシェーバーに限ったことではない。前述のマルチングプランターしかり、同じジャガイモ関係ではマルチはぎ機も挙げられる。この機械は既製品があるものの、牧草の受託作業で用いていたロールベーラーが有効活用できそうだとみて開発を試みた。また、外部団体からリースしている1条掘りのニンジンハーベスターは「能力が足りない」として、6条掘りを自社開発しようとしている。
「改造技術は鉄工所に出入りしていたことで培われた。協力してくれる外注先も結構ある。社員にもそういったことができる人間がいる。ニンジンハーベスターは、足回りとエンジン、油圧ポンプを調達し、600万円もかければ6条掘りができそうだ」
ここで人材に話題が及んだが、岩切のもとではたくさんの2、30代の若いスタッフが働いている。主にハローワークを通じて採用される県内出身の若者は、入社から3年で運転免許の取得から機械の整備まで徹底的に教え込まれる。岩切自身はオペレーターでは動かず、経営者として会社の舵取りに専念している。

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