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新・農業経営者ルポ

ジャガイモで1億を稼ぐ九州男児



取引先との信頼関係を重視

「来年は経営面積が140haになる。もう少し経てばさらに増えるかもしれない。農地の集約ができたら広い農場をつくりたい。コントラクターは当てにできないが、牛の餌を作ったり、サイロに詰めることは、これからどんどん伸びる。TMRセンターの建設まで視野に入れている」
こう展望を語る岩切だが、会社経営のことはどう考えているのだろうか。聞けば高校2年生になる長男がいるという。ただ、すぐには採用しないそうだ。
「ここで働くにしても、息子にはどこかで修行してこいと伝えている。工学部に興味があるようなので、まずは大学に行って、そこから企業に就職する。順序はそのほうがいい。社員には誰にも役職を与えていない。仕事ができるのと経営はまた別の話だ」
岩切の経営はこれからも続く。こう見てくると、能率至上主義のように思えてくるが、実際はそうでもないようだ。こんなエピソードがある。
「近くでポテトチップ用ジャガイモの生産を始めた人たちがいて、収穫作業を受託した。でも、防除が不十分だったのか、スチールコンテナには腐敗したイモが目立った。このまま出荷しても輸送途中で被害が拡大し、運送代を逆に請求されるだけだからやめたほうがいいと提案したことがあった。自分のところでも悪いイモがあればそうしているし、選別には気をつけている。信頼関係は大事だからね」
ポテトチップ用ジャガイモの取引先からの面積拡大要請も、コントラクターや農業土木の顧客が作業料金で判断せず、他社に流れないのも、こうした岩切の姿勢と現場を知っていることにひかれてのことに違いない。12年に3億7000万円だった売上は、4億5000万円に伸びる見込みになっている(13年)。年々少しずつ伸びているという現実は、岩切が活躍するフィールドが増えていることを示すと同時に、周囲からの岩切への信頼度の高まりを表しているともいえるだろう。
(文中敬称略)

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