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女の視点で見る農業経営

パートナーがいれば、お互いの進歩を確認し合うことができる

「今年はね、とーってもいいキャベツができたの。葉っぱもとても青くって、巻きが多い。そして何より、ロスがない。こんなの初めてよ!」とうれしそうに話す池田朋美さん(30歳)。夫の吉宏さん(37歳)と吉宏さんの両親の4人で、現在キャベツ(30ha)とじゃがいも(30ha)の栽培を手掛けている。吉宏さんも舌を巻くほど、鹿嶋での農業を楽しんでいる朋美さんだが、意外にも彼女は茨城県の出身ではなく、また農家に育ったわけでもない。
 「今年はね、とーってもいいキャベツができたの。葉っぱもとても青くって、巻きが多い。そして何より、ロスがない。こんなの初めてよ!」

 とうれしそうに話す池田朋美さん(30歳)。夫の吉宏さん(37歳)と吉宏さんの両親の4人で、現在キャベツ(30ha)とじゃがいも(30ha)の栽培を手掛けている。

 吉宏さんも舌を巻くほど、鹿嶋での農業を楽しんでいる朋美さんだが、意外にも彼女は茨城県の出身ではなく、また農家に育ったわけでもない。生まれは福岡県行橋市。3人姉妹の真ん中で、子どもの頃から生き物が大好き。いつも野山を駆け回っていたという。父親は(株)住友金属(住金)に勤めるサラリーマンだったが、8歳の時、住金の大工場があるここ茨城県鹿島町(現・鹿嶋市)へ転勤となり、家族で移り住んだ。高校は県立鹿島高校に入学し、卒業後、住金の系列の(株)中央電気工業に入社した。

 中央電気では、朋美さんは事務職を担当していた。ところが、自分の仕事は冷暖房のきいた部屋の中で、座ったままで進んでいく。そんな日常の中で、社員食堂で同席した現場の溶鉱炉で働く男性たちの姿は印象的だった。

 「金属製の耐熱服を着て、火花を散らしながら働いているおじさんたちは、作業服まで汗びっしょり。塩を嘗めながらご飯を食べたり、とっても辛い青い唐辛子を白いご飯の上に乗せて食べていたりするんです。その姿を見ていると、ずっと冷房のきいた部屋にいる自分がなんだか情けない。本当に“働く”っていうのは、こういうことじゃないかと思った」

 そんな思いがつのり、ある日とうとう上司に、

「私も現場へ行かせてください」

 と申し出た。しかし、そんな突飛な希望が聞き入れられるはずもなく。再び机に向かう日々が続く。そこで朋美さんは、仕事が終わると、会社近くのグランドや自宅のあった住金の社員住宅の周りを5周10周と走り、汗を流すようになった。

 「“人が動く”って書いて“働く”ッていうんだから……」

 体をどんどん動かして自分を“追い込んで”いくのが好き。汗をした後の気持ちよさを、もっともっと味わいたい。そんな思いは、10代の頃から彼女の心の中で煙っていたようだ。

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