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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
植物工場での医薬品原料の生産
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第13回 2013年12月25日
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大麻草(以下、麻)にはガンやエイズ、緑内障、喘息、てんかん、鬱病、慢性の痛み、多発性硬化症といった約250種類の疾患に治療効果があると報告されている。麻には、カンナビノイドと呼ばれる独特の化合物が100種類ほど含まれる。なかでも医薬分野で注目されているのはマリファナ効果のある「THC」と、繊維用の品種に多い「CBD」という成分である。麻の医薬研究は、人体にカンナビノイド受容体と脳内マリファナが発見されたことによって1980年代後半から世界規模の研究競争が繰り広げられている。
世界で初めて天然由来のカンナビノイド医薬品を発売したのは、GW製薬というイギリスの創薬ベンチャー企業である。同社は98年にイギリス医薬品庁から医薬品製造・大麻栽培免許を取得した。設立から7年後の05年にカナダで、ドイツのバイエル社と販売提携して神経性難病である多発性硬化症の痛み改善薬「サティベックス」を発売した。
この成功を支えたのは、世界のマリファナ文化のリーダー的存在で栽培や育種のノウハウを持つ、デビット・ワトソン氏とロバート・クラーク氏によって設立されたオルタファーマ(HortaPharm)社との業務提携である。アンダーグランドな種子入手を回避し、開発期間の短縮を実現した。さらに同社は米国のホワイトハウス麻薬撲滅対策室の元次官アンドレア・バーサウエル氏を雇用し、07年2月に日本の大塚製薬と米国での独占販売ライセンス契約を締結して多発性硬化症とガン疼痛の鎮痛剤としての臨床試験を含む共同研究を進めている。
GW製薬は150名規模の企業で、11年度の売上高約37.7億円のうち「サティベックス」の売上が約5.7億円を占め、前年度に比べて59%増と伸びている。売上高の多くは提携企業から支払われる研究開発であり、大塚製薬がその約4割(14億円)を負担している。
サティベックスは舌下型スプレーの形をしており、1本5.5ml入りで1回に100マイクロリットルを正確に噴射できるようになっている(図1)。噴射1回分にはTHCが2.7mg、CBDが2.5mg含まれている。摂取目安は1度に4~8回の噴射で、THC量は10.8mg~21.6mg。これは、THC10%品種のマリファナ煙草1本(900mg)をすべて摂取した量とほぼ同じである。気になる値段は1本125ドル。症状によって摂取量が違うが、月に4~8万円かかるらしい。マリファナ煙草の4~5万円に比べてやや高いかもしれない。
世界初のカンナビノイド医薬品
世界で初めて天然由来のカンナビノイド医薬品を発売したのは、GW製薬というイギリスの創薬ベンチャー企業である。同社は98年にイギリス医薬品庁から医薬品製造・大麻栽培免許を取得した。設立から7年後の05年にカナダで、ドイツのバイエル社と販売提携して神経性難病である多発性硬化症の痛み改善薬「サティベックス」を発売した。
この成功を支えたのは、世界のマリファナ文化のリーダー的存在で栽培や育種のノウハウを持つ、デビット・ワトソン氏とロバート・クラーク氏によって設立されたオルタファーマ(HortaPharm)社との業務提携である。アンダーグランドな種子入手を回避し、開発期間の短縮を実現した。さらに同社は米国のホワイトハウス麻薬撲滅対策室の元次官アンドレア・バーサウエル氏を雇用し、07年2月に日本の大塚製薬と米国での独占販売ライセンス契約を締結して多発性硬化症とガン疼痛の鎮痛剤としての臨床試験を含む共同研究を進めている。
GW製薬は150名規模の企業で、11年度の売上高約37.7億円のうち「サティベックス」の売上が約5.7億円を占め、前年度に比べて59%増と伸びている。売上高の多くは提携企業から支払われる研究開発であり、大塚製薬がその約4割(14億円)を負担している。
サティベックスは舌下型スプレーの形をしており、1本5.5ml入りで1回に100マイクロリットルを正確に噴射できるようになっている(図1)。噴射1回分にはTHCが2.7mg、CBDが2.5mg含まれている。摂取目安は1度に4~8回の噴射で、THC量は10.8mg~21.6mg。これは、THC10%品種のマリファナ煙草1本(900mg)をすべて摂取した量とほぼ同じである。気になる値段は1本125ドル。症状によって摂取量が違うが、月に4~8万円かかるらしい。マリファナ煙草の4~5万円に比べてやや高いかもしれない。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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