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岡本信一の科学する農業

雑穀類の収量・品質はもっと良くなるはずだ

農業現場の機械化が進み、機械の性能が向上するなか、機械の利用効率や機器の選択の幅が大きく広がり、結果として機械作業体系は大きな進歩を遂げている。昔は考えられなかったようなコンバインの登場により、穀類収穫の効率化は大きく進んだ。今回は穀類の中でも稲や麦とは一線を画する雑穀類の機械収穫をテーマに取り上げた。 この連載では科学的に根拠のある事項を書くべきだが、今回は数値データがなく、私の経験に基づいた内容であることをお断りしておく。


雑穀類を機械で収穫すると
品質がバラツキませんか?


さて、ソバや菜種などの雑穀類は、一般的な稲や麦などと比較すると収穫期に突出した違いがある。それは収穫適期が長いという点である。稲や麦などは一つ一つの実の熟期がかなり揃っていて、株のなかでもあまり大きな登熟時期の差はない。よほど大きな条件の違いがない限り圃場内での違いですら顕著に見られない。これは作物の特徴でもあるが、品種改良が進んだ結果ともいえる。他方、多くの雑穀類を見てみると、下の方から徐々に花が咲く。上の方に向かって蕾を次々とつけ、下の方から登熟していく。実際に生育状況によって草丈が大きく違い、登熟具合は幅広く、同じ圃場でも場所によって、さらに同じ株でも実の登熟に大きな差異が生じる。
この雑穀類の特徴を踏まえて機械収穫の効率や収穫したものの品質について考えてみよう。同じ株でも登熟期に大きな違いがあるということは、収穫したものの登熟具合にもかなりの幅があることを意味している。未熟なものから収穫適期の過ぎたものまでが混在し、品質はバラツキやすくなる。また、収量そのものにも大きな影響を及ぼす可能性がある。というのも、下から始まった登熟が最上部に至った時には最下部の登熟がかなり進んでおり、風などの外力で実が地面に落ちやすくなっているためである。
稲や麦ではこのような現象は起きにくいが、雑穀類においては頻繁に見られる。機械での収穫作業が一般的になり、どこまで登熟が進んだ時点が一斉収穫の適期なのか、収量を最も確保できるのかという判断が難しくなっているのだ。ハーベスターなどの機械性能によって、収穫ロスを抑えるなどカバーできる部分もある。しかし、意外と収穫ロスや品質のバラツキについては仕方がない、あるいは当たり前の現象であると考えていることが多いようだ。

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