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どのようなコントロールを行なうのかというと、実がついた適当な段階で窒素栄養が比較的少ない状態に持っていくという方法である。窒素栄養が少なくなれば栄養生長を続けることができなくなり、草丈が伸びないので、必然的に実の充実を図るようになる。
お分かりだろうか。窒素切れを起こして栄養成長が止まってしまえば、際限のない茎葉の成長が止まり、収穫適期の幅の広がりを抑えることが可能になるのである。ただし、窒素の供給をコントロールして、比較的初期の段階で窒素が切れてしまうようにすると、収穫適期の幅は小さくなりやすいが、大幅な増収は難しくもなる。
栄養生長を続けるためには窒素栄養が必須である。逆に、窒素が切れないように供給できるような施肥体系であると、窒素が多量にあって、いつでも利用できるようになり、栄養生長を際限なく続けるので、天候条件さえ良好であれば作物としては多くの実を充実させることもできる。ところが、機械収穫という作業体系では、作物が幅広い収穫適期にわたり多くの実をつけたとして、必ずしも収穫量が最大にはならない。品質のバラツキは大きくなり、収穫時に実が充実しているものだけが収穫量になるためだ。
実際に数値などでデータ化してみないと判明しないのだが、明確に言えるのは収穫適期の幅が小さければ品質のバラツキが小さくなり、品質の安定を図ることが可能になるだろうということである。収穫量に関しては、窒素の供給が大きいほうが作物としては収量が増大しやすく、窒素の供給が少なければある程度制限されるはずである。
一定以上の雑穀類の栽培面積があれば、収穫作業に機械が導入されていることだろう。機械収穫の場合には、収穫ロスや品質の安定を考えると収穫適期の幅を小さくするほうが効率化できるだろう。窒素の施肥量を減らせば、投入コストが下がるというメリットもある。経営的な問題もあるのでどちらがよいということではない。収穫機の性能向上だけでなく、今ある機械をいかに上手に使うのか。作物の植物生理に目を向けることで大きな改善の余地が残されているのである。
多くの雑穀類はあまり栄養分を必要としない、痩せている土地に適しているものが多い。ソバなどは顕著で、もともと穀類ができないような過酷な条件で栽培される作物なのだから当然のことである。
昨今、「土づくり」は土を良くする目的で取り組まれがちである。しかし、肥沃にすることだけが土づくりではないということはご存知であろう。肥沃にするというと一般に土壌窒素の供給を増やすことを意味する場合が多いが、雑穀類などの場合には、マイナスに働く可能性もあるということも理解する必要がある。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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