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女の視点で見る農業経営

パートナーがいれば、お互いの進歩を確認し合うことができる

ママのトレードマークは長靴


「朋さん、ちょっと農家の人とお見合いしてみない?」

 そんな話を持ちかけたのは、いつも家の周りをぐるぐる走っている妹を見ていたお姉さんだった。その相手こそ、現在の夫、池田吉宏さんである。吉宏さんは、高校卒業後、歯科医を目指して、幾度か大学受験を試みたものの断念。故郷に帰って、本格的に家業の農業に取り組み始めた時期だった。早く結婚して、心配をかけた両親をなんとか安心させたい。そんな吉宏さんの声が、人づてに、朋美さんのもとへ届いたのだ。

 「農家の人と聞いても、ちっとも抵抗はなかったし、その道で本当に頑張っている人なら、会いたいと思いました。農作物を大切に育てる、体も心も大きい人なんだろうなあって……」 ところが、吉宏さんの第一印象は、そんな朋美さんの“農業青年”のイメージとは、ずい分違っていたようだ。

 「もやしみたいにやせっぽっち。この人、鉛筆より重たいものを持ったことがないんじゃない?って思ったくらいでした」

 それでも何度かデートを重ねるうち、池田家の農作業を手伝うようになった。

 「私か行くと、『助かった、どうもありがとう』って言われるのがうれしかった。やっぱり会社で事務やってるよりも、農業の方が自分には向いてる。まわりの人に『大変だよ』とか、『できないよ』とか言われたけれど、その気になってやればできないわけがない」

 かくして、朋美さんは、21歳で3年間のOL生活に終止符をうち、池田家の一員となった。

 手押しのティラーに、20馬力のトラクターが1台。それが結婚当時の池田家の機械設備のすべてだった。作付け面積はキャベツが7~8a、じゃがいも1.5ha、現在の半分以下である。キャベツの収穫も、みんなで1日80箱詰めるのが精一杯。

 「農業のこと、よくわからなかったから、まあこんなもんだろうと思ってました」

 昭和62年11月に長男誠一君を出産。産後間もない頃は、家で家事と育児に専念していたが……、

 「お義父さんとお義母さんが疲れて帰ってくるのを見ると、家にじっとしていられない。子どもをおんぶしてでも、一輪車押したり、ダンボール箱を作ったり、とにかく自分もやりたかった」

 と、子連れで畑へ出るようになる。ある日、ダンボールに誠一君を寝かせて作業をしていると、キャベツ畑で行方不明になってしまった。ハイハイで畑の中へもぐり込んだらしい。あわてていま張ったばかりの防鳥網を外して捜し回ると、キャベツを枕にしてスヤスヤ眠っていた。……そんなこともあった。

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