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女の視点で見る農業経営

パートナーがいれば、お互いの進歩を確認し合うことができる

 そんな矢先、池田さんのところへ生協の仕入れ担当者がやってきた。

「お宅のキャベツがはしいんですが……」

 それまでは千葉県を中心に買いつけをしていたが、茨城にもいい生産者はいないかと足をのばしていたという。なんの面識も紹介もなく、池田さんの畑を見ただけで契約したいと言ってきた。朋美さんが言う「とってもいいキャベツ」を「わかってくれる人」は、向こうからやってきたのだ。「土づくり」にこだわって作りつづけたキャベツ畑が、何よりの「名刺」がわりになってくれた。


2人がトラクタを運転できる意味


 さて、機械導入当初は、主に吉宏さんが運転をしていたが、ここ数年、朋美さんも運転できるようにと練習を始めた。家の前で15馬力のトラクタを乗りこなすことから始まって、徐々に畦道へ、公道へ、そして畑へと出ていった。

 同じ1台でも、それを動かす人が1人か2人かでは、大きな違いがある。朋美さんが、35馬力のトラク汐を運転できるようになったことで、作業能率もグンと上がってきた。じゃがいも畑のまわりは、住宅地が多い。だから畑に鶏糞を混ぜ込む作業は、手早く行わないと近所から苦情が出てしまう。これまでは、マニアスプレッダに鶏糞を吸い込ませて畑に散布し、その後ロータリをかけるという作業を吉宏さん1人でやっていた。でも今年はロータリを朋美さんが担当。これまで2日かかった作業が1日で終わった。

 「機械の運転をいつまでも吉宏さんだけがやっていては、規模を広げてもすぐ限界がきてしまう。私は最初から上手にはできないけれど。遅くてもなんとか……」

 だからといって、何もかも男並みにやろうとも思わない。同じ畑に「2人の吉宏さん」、「2人の朋さん」は必要ないのだ。吉宏さんにしても、こんな体験がある。

 「子どもをおんぶして、畑でキャベツを積んだ一輪車を押してみたことがあります。あの時は、たいへんだなあー、女の人はすごいなあと思った」

 お互いに、違った視点から同じ作業に携わることで、違った面が見えてくる。それが新しいやりがいにつながるし、お互いの進歩を確認しあえるのだ。だから、朋美さんが機械を操れるメリットは効率アップだけではない。たとえば、最初の頃はゆらゆら曲がっていた畝が、だんだん真っ直ぐ立てられるようになってくる。吉宏さんも朋美さんも、それを見て顔を見合わせて、「うまくなったね」と、喜びを分かち合いたいと思う。自分を認めてくれるのは、家族しかいないのだから。それは」緒に働いている者でも、同じ機械を動かした者同士でなければわからないものだ。

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