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新・農業経営者ルポ

1株100万円!過疎地を変える新たな農村ビジネス


米国に本社を置くメガファームの日本法人の社長も農場主になった。そのグループ会社は年間5兆円を売り上げる巨大農業法人ながら、日本法人の社長は有機農作物と限界集落に興味がある。ダッシュ村の見学に訪れ、旧三和町にある農地をすべて購入した場合の価格を聞いていったという。過疎地に新たな可能性を見いだしたのだと清水はみている。

自分の村だと思ってもらう

どうやら食料や過疎の問題に興味を持ってはいても、それに対してどうアプローチをしていいのかわからない人は我々の想像以上に多いようである。一口農場主への関心の高さは、そのことを教えてくれる。そうした人々と過疎地をつなぐ架け橋をうまく渡してあげれば、新たな農村ビジネスに発展していくのだ。
既述したように、農場主には近畿圏以外の在住者のほうがはるかに多い。ましてや京都市内から車で1時間半もかかるのであれば、ダッシュ村にやって来るのはなかなか難しい。この距離感を縮めているのは、先ほど述べたように農産物を毎月届けること。それからホームページにブログを設け、写真入りで活動を随時紹介している。それは例えば作っている農産物の状態だったり、新しいイベントの告知だったり。それを読んだ農場主からは励ましの手紙やメールが届く。距離は離れていても、農場主に自分の村だと感じ続けてもらうための工夫が大切なのだ。

共感した人たちが集う場所に

言ってみれば、ダッシュ村の活動は清水の社会への問いかけであり訴えである。
「日本に8000ぐらいある限界集落をなくすことは、中山間地の農地をなくすことと同じ。でも、農地がなくなれば、山が荒れてその保水機能が失われる。最近洪水が多いのはそのためだと思うんです。それでは都会まで駄目になるという思いが私にはあるんです。とにかく人に住んでもらって、限界集落を守っていかなくてはいけない。そのための活動なんです」
この思いに共感する人たちが今のダッシュ村をつくっている。清水が代表を務めるNPO法人・京都SEINEN団は、老若男女300人が共生を目的に活動するボランティア組織。都会での異業種交流事業のほか、森林の保全などを手がけてきた彼らが、ダッシュ村での伐採や開墾などを手伝ってきた。
移住する人もいる。画家で副村長を務める山本晋也(45)の夫婦は、自給自足の生活にあこがれ、平安神宮や銀閣寺がある京都市左京区から移ってきた。ずっと農業をしたかったものの、農地を貸したり売ったりしてくれるところは見つからなかった。諦めていたところ、ダッシュ村のことを知って飛び込んだ。

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