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わが国は水稲作が主であり、どちらかといえば、品種改良と栽培法にその増収法を求めてきた。しかし、その水稲すら上限にきている。現在、米は余剰といわれるが、食を他の食品に求めているに過ぎない。いずれ米も不足時代がやってくる。さらに良質米を安定的に増収しようとすれば、昔に戻って乾土効果、乾田効果の発現に力を入れるべきであろう。ロータリティラー辺倒の耕起法は反省期を迎えている。
「低コスト化のために直播技術を」といわれているが、それも差し支えないとして、その前にやるべきことがあるのを忘れてはならない。
直播技術を安定化しようとすれば、土作りからスタートしなければならないのである。水管理の不十分な湿田で直播栽培が成立することにはならないことを知るべきである。
つまり、直播栽培は、一番デリケートな幼苗期を圃場で過ごすのである。土作りができていないで、直播栽培ができるわけがない。タマネギやてん菜の栽培が 100%近く移植によって行なわれている中で、直播栽培を成功させている人がいる。この人たちは例外なく、土作りの名人なのである。
農業は土地を生産基盤としていることを忘れてはならない。水田も耕起に見直しをかければ、増収はもちろんのこと、田畑輪換が可能になる。それほとりもなおさず、耕地面積の拡大であり、また、水田と畑の双方の収量を高めることでもある。
いま、緻密な技術を投入しようとすると、「それは省力的ではない。低コスト化に相反するもの」と軽んじられる傾向にあるが、本筋を間違えてはいけない。わが国はそんなに余裕のある国ではないのである。集約的であろうと独自の技術を組み立てて、食糧の自給率同上に布石しなければならないのである。その集約技術が負担であるならば、技術開発で補えばよいことである。
「耕す」――いまこそ、その本質を見きわめなければならない時期であると思える。
「低コスト化のために直播技術を」といわれているが、それも差し支えないとして、その前にやるべきことがあるのを忘れてはならない。
直播技術を安定化しようとすれば、土作りからスタートしなければならないのである。水管理の不十分な湿田で直播栽培が成立することにはならないことを知るべきである。
つまり、直播栽培は、一番デリケートな幼苗期を圃場で過ごすのである。土作りができていないで、直播栽培ができるわけがない。タマネギやてん菜の栽培が 100%近く移植によって行なわれている中で、直播栽培を成功させている人がいる。この人たちは例外なく、土作りの名人なのである。
農業は土地を生産基盤としていることを忘れてはならない。水田も耕起に見直しをかければ、増収はもちろんのこと、田畑輪換が可能になる。それほとりもなおさず、耕地面積の拡大であり、また、水田と畑の双方の収量を高めることでもある。
いま、緻密な技術を投入しようとすると、「それは省力的ではない。低コスト化に相反するもの」と軽んじられる傾向にあるが、本筋を間違えてはいけない。わが国はそんなに余裕のある国ではないのである。集約的であろうと独自の技術を組み立てて、食糧の自給率同上に布石しなければならないのである。その集約技術が負担であるならば、技術開発で補えばよいことである。
「耕す」――いまこそ、その本質を見きわめなければならない時期であると思える。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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