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【吉村明のみつひかり栽培日誌】
はじめに
- 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
- 第1回 2014年01月28日
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「みつひかり物語」(1)
ハイブリッドライスとは……
『ハイブリッド(HYBRID)』とは雑種という意味です。生物は遺伝的に遠縁の品種間で雑種をつくると、組み合わせによってはその1代目(F1)に両親より優れた性質が現れ、しかも均一な特性を示します。この現象を雑種強勢(ヘテローシス)といいます。この現象は多くの農産物に利用され、現在、トウモロコシや大多数の野菜がハイブリッド品種となっています。
稲は自殖性で固定種が多く、ハイブリッド品種は採種が難しいために開発が遅れていましたが、1970年代より食糧増産を目的に、国策で研究開発を進めた中国が実用化に成功して以来、広がりを見せています。
固定種であれば、コメも種子も同じなので、自家採種が可能ですが、ハイブリッド品種の場合、種子を購入しなければ栽培できません。栽培したコメは雑種第2代(F2)で、自家採種して栽培した場合は、メンデルの法則に従って、先祖がえりしてさまざまな形質を示します(図1)。
ハイブリッドライスは一般に、「多収であるが、品質・食味が劣る」と言われていましたが、当社の研究の粋を結集した結果、厳しい日本市場でも十分に戦えるおいしい品種を開発しました。
みつひかりの特性
みつひかりには、日本晴系の吸水性の高い「2003」と食味を改善したコシヒカリ系の「2005」の2品種があります。よく2003年、2005年と勘違いされますが、育成番号を品種名に入れており、年号とは関係ありません。種苗登録申請したのは95年と96年、共に00年に種苗登録され、現在に至っています。新しい品種のようですが、既に登録されてから14年以上経過しています。次号では、開発の経緯に触れます。
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吉村明 ヨシムラアキラ
三井化学アグロ(株)
営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー
1962年生まれ。1988年 北海道大学大学院農学研究科修了。同年 三井東圧化学(株)(現三井化学)入社、農業資材開発に従事(北海道工業所勤務)。1996年 本社異動後、ハイブリッドライス事業開発を担当になる。2000年に事業ごと三井東圧農薬⑭(現三井化学アグロ)に異動し、現在に至る。17年間「みつひかり」をライフワークに、全国を飛び回る。
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