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吉村明のみつひかり栽培日誌

はじめに

  • 三井化学アグロ(株) 営業本部マーケティング部ハイブリッドライス 種子グループ グループリーダー 吉村明
  • 第1回 2014年01月28日

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はじめに 『農業経営者』読者の皆さま、このたび、ハイブリッドライス「みつひかり」についてご紹介させていただく機会を頂戴しました、三井化学アグロ(株)(主業は農薬の開発・製造・販売)の吉村明です。これまで、多くの生産者様にお会いし、いろいろな「みつひかり」を見て、調査して、多くの知見を得ることができました。また、まだ小さいながらも生産と実需(米卸・外食企業)をつなぐビジネスモデルが確立し、その取り組みがメディアで紹介されました。私自身、まだまだ「みつひかり」の魅力のすべてを把握しているわけではありません。私の持っている情報を、生育に合わせて「栽培日誌」という形でさまざまな角度からご紹介しながら、皆さまとともに、「みつひかり」への理解を深めたいと思っています。 今回より、(1)「みつひかり物語」(開発の経緯、品種特性、普及状況など)、(2)栽培のポイント、(3)弊社農薬のご紹介による構成で、9回の予定で連載します。お付き合いの程、よろしくお願いいたします。


「みつひかり物語」(1)


ハイブリッドライスとは……
『ハイブリッド(HYBRID)』とは雑種という意味です。生物は遺伝的に遠縁の品種間で雑種をつくると、組み合わせによってはその1代目(F1)に両親より優れた性質が現れ、しかも均一な特性を示します。この現象を雑種強勢(ヘテローシス)といいます。この現象は多くの農産物に利用され、現在、トウモロコシや大多数の野菜がハイブリッド品種となっています。
稲は自殖性で固定種が多く、ハイブリッド品種は採種が難しいために開発が遅れていましたが、1970年代より食糧増産を目的に、国策で研究開発を進めた中国が実用化に成功して以来、広がりを見せています。
固定種であれば、コメも種子も同じなので、自家採種が可能ですが、ハイブリッド品種の場合、種子を購入しなければ栽培できません。栽培したコメは雑種第2代(F2)で、自家採種して栽培した場合は、メンデルの法則に従って、先祖がえりしてさまざまな形質を示します(図1)。
ハイブリッドライスは一般に、「多収であるが、品質・食味が劣る」と言われていましたが、当社の研究の粋を結集した結果、厳しい日本市場でも十分に戦えるおいしい品種を開発しました。

みつひかりの特性
みつひかりには、日本晴系の吸水性の高い「2003」と食味を改善したコシヒカリ系の「2005」の2品種があります。よく2003年、2005年と勘違いされますが、育成番号を品種名に入れており、年号とは関係ありません。種苗登録申請したのは95年と96年、共に00年に種苗登録され、現在に至っています。新しい品種のようですが、既に登録されてから14年以上経過しています。次号では、開発の経緯に触れます。

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