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紀平真理子のオランダ通信

フリースランドの酪農家訪問記(3・最終回)

Haarsma夫妻にオランダの農家らしく“きっちり”コーヒーを2杯ごちそうになる間に同国の酪農家の現状を聞いた。ここできっちりと表現したのは、オランダの農家ではコーヒー2杯分を飲み終えるまでが休憩時間といううわさがあったからである。
まずは牛の管理方法についてだ。オランダでは子牛が生まれたら耳に番号の入ったタグを付ける。そして、役所に管理者、耳に付けた番号、母の名前等々の情報を早急に申し出る。近隣とトレードする際も「いつ誰から誰に」受け渡しがされたか、という内容の届け出をしなければならない。
「以前、フリースランド州では週2回、農家同士のトレードマーケットがあったんだけど、病気の拡大原因になり得るため、現在は週に1回、牛のトレーダーが訪問して近隣農家とのトレードについてアドバイスをしてくれるんだよ。少しコミッションが必要だけどね」
これに続いてDurkは交配に言及した。
「通常は自分たちでブリーディングし、自然交配を行なっているよ。大規模酪農家は人工授精もしているみたいだね。ちなみに、初妊牛の価格は季節によって異なり、冬期は牧草などの生の飼料が不足する関係で牛の出荷(供給)が多くなり、価格が下がる。だいたい冬前だと1100ユーロだね。年や気候によっても異なるけど、夏前だと同じ牛でも7000ユーロ近くにはね上がることもある。価格の変動を読んでトレーダーと作戦会議することが重要だよ」
では、彼らの戦略とは何か。
「生まれてから初めての搾乳までは2年2カ月かかり、12歳まで搾乳できる。それと、8回から9回は出産できるかな。オランダでは10カ月間搾乳し、残りの2カ月間は繁殖期で搾乳しない(取材したときは繁殖の時期とは関係なかった)。ちなみに、ニュージーランドでは繁殖期でも搾乳するらしいので繁殖期が決められておらず、それからするとこれはオランダ独自の風習かもしれないね。でも、ここがもうけるポイントなんだよね。夏は放牧するから牛もストレスが少なく、大量に搾乳可能で、大量の生乳を市場に供給できる。その分、生乳の供給量が少ない冬のほうが生乳1リットル当たりの納入価格が高くなるんだよ。もちろん、冬に生乳を大量供給できるよう繁殖期を調整してスケジュールを組んでいるよ」

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