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【日本で麻農業をはじめよう 聞いておきたい大麻草の正しい知識】
新たな麻栽培の試み
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第14回 2014年01月28日
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新たな麻栽培の試み
2013年度に新たに大麻草(以降、麻)栽培を始めた渡辺和資・よし江夫妻は、栃木県の那須高原で50年以上も稲作2・5ha、約100品目の無農薬野菜30a、黒毛和牛繁殖(14頭)を組み合わせた循環型農業を営んでいた。しかし、11年3月の福島原発事故をきっかけに和牛繁殖の廃業を決断し、それに替わるものとして麻の栽培免許を取得し、麻農家へ転身を図った。栽培に至るまでの経緯や初めて麻を栽培してみた感想など現場の声を紹介する。
Q.麻に注目したきっかけは?
A.福島原発事故が起こった直後から14頭の繁殖用和牛が流産しやすくなり、餌代ばかりがかかるようになりまして……。商売に限界を感じていた11年4月中頃に群馬県の麻農家から麻のことを教えてもらいました。それから栃木県の麻農家で有名な大森由久さんに相談したりして、いろいろと下準備を始めました。
Q.栽培免許取得は大変でしたか?
A.栃木県で麻農家になるには、栽培地の市町村役場と栽培希望農家が鹿沼市経済部農政課に事務局を置く「あさ振興連絡協議会」に加入することが必須条件となります。12年9月頃に協議会の会長さんと面接をした結果、加入が認められ、事情を察して全面的に支援していただけることになりました。さらに、大麻栽培免許の申請窓口である県の農政課に相談したら、免許許可権をもつ県薬務課に話をしておくということで協力が得られました。保健所の担当者は偶然にも前任先が麻産地の鹿沼市で、良きアドバイザーになってくれました。その後、関係各所の粘り強い働きかけによって13年2月に免許を取得できたのです。
Q.種子や麻の専用農具の調達は?
A.私たちが取得した10aの栽培許可は、7aが繊維採取用、3aが種子採取用でした。通常、新規の麻栽培者が入手できる種子は少ないので、1年目は種子を増やし、2年目から繊維をとります(図1)。協議会の会長さんが種子から道具までを手配してくれたおかげで、1年目から繊維を収穫することができました。
道具は、麻専用の播種機、カッツァビと呼ばれる中耕用具、刈り取りに使う麻切り包丁、収穫した麻茎を湯につける鉄砲桶、精麻をつくるときに使う電動の麻挽き機など、一式で11万円。麻干しに使うビニールハウスは長さ27mのものを3棟譲ってもらいました。栽培技術的なことも県内関係者の皆さんに随分とお世話になりました。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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