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これなら分かる「土と肥料」の実践講座肥料その2

 さらに、窒素成分がたいへん高い肥料なので、施用法にも特別の注意が必要となります。しかし逆に少しの運搬量で間に合うという利点もあるのです。

 また尿素は葉面吸収をよくするので、0・5~1・0%の水溶液にして葉面散布することもよく行なわれています。これをする場合、日の出から1~2時間の間が最も吸収率がよいので、その時間帯に作業をします。また細かい霧状にして葉裏に水滴を付着させるように散布するのがコツです。

 市販の葉面散布剤の窒素成分はほとんど尿素態と考えていいです。尿素は成分当たりの価格も安く、最も使用法を研究する価値のある肥料です。


石灰窒素 CaCN2

 保証成分は窒素全量で19・0%以上。性状は黒色の微粉末で、施用しやすくするため粒状に加工したものが多いです。窒素形態はシアナミド態で、副成分として石灰、ケイ酸、鉄などを含みます。石灰はアルカリ分50%の保証で、この酸性矯正力は消石灰と同等です。

 シアナミド態窒素は、土壌に施されると土壌コロイドの作用を受けて尿素に変し、それがウレアーゼによって炭酸アンモニアに変わり、そして硝酸にまで変化していきます。施用された石灰窒素が炭酸アンモニアに変わり、また硝酸にまで変化するまでには、夏季では1週間、冬季では2~3週間を必要とするので。速効性とはいえません。一方、生成したアンモニアの硝酸化成は、他のアンモニア系のものよりも遅いので、流亡による損失は少ない特徴があります。

 使用に際しての注意点は、シアナミドは毒性を有するものだということです。したがって、作物に対してはもちろん、取り扱う人に対しても注意を要します。散布作業は必ずマスク着用をして行ない、袋に記載されているように24時間以内の飲酒は絶対にしてはいけません。

 逆に、この毒性を利用して、雑草、土壌病害に対して用いることもできます。しかし、散布の経験者なら、その作業がいかにたいへんであるかがわかるでしょう。一度やってみたが二度はやらないというのが正直なところかも知れません。

 とはいえ、効果については農薬としての登録もあることから、散布法の工夫でもっと活用の幅はあると思いますし、窒素施肥に関しても、石灰窒素の流亡しにくい性質、アンモニア態である程度留まっていられることなど、成分当たりの価格が高い肥料で、その価値は十分ありということです。

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