ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

新・農業経営者ルポ

「絶対差」のコチョウランづくり


このシステムは埼玉県のコチョウランの生産者が考案して、農業資材メーカーが売り出していた。松浦園芸では1.3ha分で導入するのにかかった費用は600万円ほど。オランダにも同様の商品はあるが、最低でも1000万円はする。ただ、残念なことに最近になって製造中止になってしまったという。松浦園芸では事前にシステムのプログラムを勉強していたほか、修理に必要な部品を購入していたので、当面はこのシステムを利用できるそうだ。


国内初の染色技術と
「ハート胡蝶蘭」

これだけ高度な制御システムを備えた施設内で作る商品の花色は、先ほど紹介した3色だけではない。売り出し中なのは、2年前からオランダの染色技術を使ってできる青、黄、緑、紫。この技術の利用を許諾されたのは現在のところ、世界4カ国で6社しかない。日本国内では松浦園芸だけだそうだ。
その色づけ方法は茎にドリルで小さな穴を開け、そこに注射針を刺して染色液を注入する。わずかな液量で日に日に花びらが色づき、1週間もすれば出荷できるまでになる。
専用の部屋で秀昭からその段取りを見せてもらったが、「企業秘密」なので詳細を書けないのが残念である。2012年から10年間、日本国内では松浦園芸の専売特許なのだという。当初、染色技術は「あくまでも売上全体を伸ばす起爆剤として考えていた」。だが、一度購入した販売業者の8割がリピーターになるなど想像以上に人気が出ている。
仕立て方では1鉢に3株を立てる「3本立て」と5本立てる「5本立て」という一般的な商品のほかに、オリジナル商品として茎をハート形に矯正した「ハート胡蝶蘭」を売り出している。バレンタインや母の日、クリスマスなどの記念日や結婚式などでの贈答用として人気が高い。ただし、ハート形に仕立てるのは難しいそうだ。50人いる従業員のなかでもその技術を持っているのは数人に過ぎないのだとか。
「日持ちの良さには非常に気を使っている」
そう言って秀昭が鉢から取り出して見せてくれたのはコチョウランの根。透明なポットの中で図太い根があふれ出るほどに密集している。「ここまで作り込む生産者は少ない。でも、これが長持ちの秘訣なんです」とのこと。
その苗づくりは台湾と栃木県の生産者に委託している。社長自らが現地の生産法人に定期的に出向き、苗の出来具合を定期的に検査している。一般的にコチョウランの出荷後の日持ちは1カ月半から2カ月だが、同社の商品が3カ月なのはそのためだ。後からやってきた社長の松浦に苗づくりの秘訣を問うと、あっさりとした答えが返ってきた。

関連記事

powered by weblio