ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

外食チェーンの調達方針



【市場と産直流通を活用した調達】

同社の商品・購買を担当する林氏からは、主に関東直営エリアの調達を説明してもらった。野菜は、主に市場荷受事業者と産直流通事業者の2事業者から比較購買している。
「主要106アイテムを共通商品として年3回、4カ月分の見積もりにより値決めさせていただき、店舗では4カ月間固定単価として原価計算しています。差額分は本部内で差益・差損として処理します。
価格流動性のリスクをどう回避するかは各社とも悩むところではないでしょうか。外食事業者は原価計算上、価格の固定化を求め、産地・流通事業者は生産量やサイズ・グレードのバランスに応じて価格の変動性を求めています。結果として産地・流通事業者の負担増というケースが多いなか、ダイナックの手法は『三方良し(産地、流通、外食のメリット)』を目指して調達の最適化を図っています」
さらに2事業者を併用することで相互補完のメリットがあるという。
「2事業者との取引においては、単に価格比較ではなく、市場流通の汎用性と、産直流通のコストパフォーマンスや付加価値性を評価しています。また、時系列的に得手・不得手を相互補完していただいています。たとえばナスの場合は、冬春は促成物として市場流通、夏秋は産地による品種特性から産直流通、というようにリレーで調達しています。2事業者との取引割合は、葉物のボリュームが高い産直流通が、結果として金額ベースで過半を占めています」
また林氏は、市場流通からの調達をする理由に、ダイナックの多業態少店舗という特殊なチェーン展開による事情も挙げる。
「当社の業態ごとの店舗数は鳥どり(鳥料理)の約30店が最大で、以下、パパミラノ(イタリアン)が約20店、次いで響・咲くら・魚盛・ローズ&クラウンなど10店前後のチェーン展開が続き、単独展開の業態も多数あります。結果としてグランドメニューの期間・コンセプト・内容は分散し、加えて季節メニュー、月間おすすめメニュー、フェアなどもあります。これらのメニューに対応するには、値決めした共通商品だけでは不十分です。ダイコンを例にすると、共通商品はLサイズですが、一本使いとしてSサイズ、煮炊き用に規格外品、鍋用途に白首系など、メニューに応じて品種・ブランド・サイズ・グレードなど高SKU(最小在庫管理単位)が求められます。それらに対応できるのは主に汎用性を得意とする市場流通なのです」
ダイナックでは原則として生産者との直接契約栽培はしていない。前述のように多業態少店舗という事業展開であり、実際に収穫されるさまざまなサイズとグレードをすべて継続的に購入できるわけではなく、双方のメリットが得にくいと考えている。

関連記事

powered by weblio